フブンリツ 8 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

※一部残酷表現、性的描写が含まれますのでご注意ください!
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「お嬢ちゃん、悪魔に取って依頼内容以外はどうでもいいんだぜ?
契約通り、父親を亡き者とした後で、ご褒美とばかりにお嬢ちゃんのこの柔肌を十分に堪能しても、感謝こそされても、非難される覚えはねえな。
お互いにWin-Winの関係じゃねぇかい?
さぁ、こうなったら楽しんだもん勝ちだぜ?」

私は反論出来ませんでした。
口を塞がれてたからではありません。
グラシャ=ラボラスさんの言葉の一つ一つが、「命」を浅はかに考えてた私を指摘してくれました。
ママを理由にパパを排除しても、その排除したことで困るのは歯科医師会や患者さんやおばあちゃんだけでなく、ママだって困るし、結局は私だって…!
なのに私は今この人間の姿をした悪魔に襲われるのには恐怖を感じてるわけで…。
自分の命と身体だけは別って都合良すぎでした?
私は「命」というものをゴミ箱や水洗トイレと同じ様に、汚らわしく、目障りな者を視界から排除したいだけ、と考えてたのかもしれない

グラシャ=ラボラスさんの行為と言葉に対して、「嫌!」とか「やめて!」とは言えず、私はただ後悔と恐怖に震え、ただただ涙を流しながら…。

「…ごめんなさい…。」

としか言えなかった。

「わかってくれたならいい。荒っぽい手段で悪かったな。
お嬢ちゃんが『堕ちる』にはまだ早いと思ってな。」

「堕ちる?私の『徳』は足りてるんでしょう?」

「あぁ、お嬢ちゃんの善行は十分さ。
だがな、『徳』を使った後のお嬢ちゃんは『ツキ』が無くなるんだ。『日頃の行いがいいから』ってのは、善行を積むから『ラッキー』に遭遇やしやすくなる。しかし、徳を失うと、小さな不満に我慢出来ず、一度味わった悪魔の契約が忘れられず、面倒事を悪魔に清算して貰おうと短絡思考になるのさ。」

グラシャ=ラボラスさんの言葉は、幼い私の心情を見抜いてました。
一度成功すると、これから起きるであろう面倒な事の度に私は彼を頼り…。

「だが、幼いお嬢ちゃんに、生活の選択肢がなかったのも事実さ…。
両親の事情はお嬢ちゃんが好きで選んだわけじゃねぇ。
それだけは、お嬢ちゃんに罪はねぇさ。」

別人の様に優しく私を抱き締めてくれました。
ホッと落ち着いた瞬間、

「ちょ、ちょっと待ってください!お手洗いに!」

「恐怖で漏らしたのかい?」

「何とかギリギリでした…って…バカー!嫌い!」