前編、中編をまだ読んでない方は先にそちらを。
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その日は結局、まどかとも竜とも一度も口を聞かんと下校した。
夜に電話する気にもなれず…。
でも、まどかも竜の事を好きやからって、焦って告白することなんか?
そんな、恋愛って競争とか勝ち負けやない。
ウチが告白しようとも、まどかが告白しようとも、竜の気持ちが一番や。
それは三好先生がいっつも言い続けてたことやんか!
アプローチの仕方は悪うても、ウチは雨森くんにもう一回断らな…。ウチにあの子と同じ真似が出来るか?雨森くんなりに勇気出したことをウチが馬鹿にする資格ないわ…。
竜がまどかを選ぼうが、安国寺くんとBL になろうが…。
ウチが赤松竜を好きな気持ちのまま、雨森くんの想いを断らな…。
あぁ、竜。今回は取るに足らん男やったから良かったけど、しっかりウチを捕まえとかな、誰かの女になってしまうで?
まぁ、竜以外やったら、真田先輩クラスやないとウチは堕ちひんけどな♪
あかん、面倒ごとは明日や。今日はせっかくやから真田先輩に迫られた状況設定で寝よ。
夢の中は浮気ちゃうし!
ZZz。
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春休み初日
「おはよう、さやか!まどかは?」
「わかんない、朝起きたらもう居なかったよー。自主トレかな~?」
学校の最寄り駅のホームでさやかと合流する。
まどかと一緒じゃない事を不審に思ったら、反対側のホームから降りてきたのは竜とまどかの二人!わざわざ反対方向の電車に乗ってまで、一緒に登校するやなんて!
そんなにウチに恨みが…。いや、竜も何で断らんの…?
と、一人で怒りに震えるウチに、二人は姿を表した。
「ちょっと、誤解しないでよ!
赤松くんはどうせ私のことなんて何とも思ってなかったんだからね!
ほら、自分の口で言いなさいよ。」
「あっ、あぁ。伊達姉ちゃんありがとう。」
竜はさやかを「伊達ちゃん」まどかを「伊達姉ちゃん」と呼ぶ。
「ごめん、美空。怖い思いさせたな。
俺がいつまでもはっきりした態度取らないから雨森なんかに…。
美空、もうお前を不安にさせない。
お前には俺が居るから!恋人としてずっと美空と居たいんだ!」
「あ、あほ!こんな駅の改札で他の人が笑うてるやんか!!
でも…竜のそんな所が好きや!」
『やったー!カップル成立おめでとう!』
伊達姉妹に煽られ、駅を行き交う人も拍手する。恥ずかしいな~。
でも、この事、安国寺くんに何て言おう?終