前編を読んで無い方は、先にそちらを
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部活が始まるまでの間、ウチは悔しくて、腹立たしくて、情けなくて、暫くトイレで泣き明かした。
気持ちは落ち着いても、腫れたウチの目を見た部員達は…。**
女子サッカー部ロッカールーム
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「どうしたの?美空ちゃん?」
ウチを合わせて7人の一年生の中で、真っ先に心配してくれたのは、ウチの一番の親友伊達さやか。
成績優秀な生徒会書記やけど、運動神経は厳しくて、現在控えのゴールキーパー。
けど、男子のキーパー柿崎先輩と付き合えてる?一年女子一番のリア充。
「何でもないねん、ちょっとな…。」
「わかった!テニス部の雨森の奴でしょ?美空ちゃんを泣かすなんて許せない!私が張り倒してやる!」
「あかん!ツネちゃんが本気出したら大惨事や!ええねん、はっきり断らんかったウチが悪いねん!」
ツネちゃんこと吉岡常子ちゃんは、チーム一番の怪力と巨漢で、男子フォワードの193センチ、赤松竜を吹っ飛ばすパワーディフェンスが売り物です。
他校のサッカー部員で、竜の親友(限りなく恋人の様に振る舞う、事実上ウチの最大のライバル)安国寺慶太くんを好きやねんけど…。
「あ~、でも告白って状況は羨ましいかな~?」
「ちょっと、由梨絵。それどういうこと?」
「あぁ、違うの。男なんてどうでもいいのよ。シュチュエーションに憧れただけよ。」
「ホントに?」
左サイドバックの佐々木由梨絵と、セカンドトップの宮本真知子はとても仲がええねんけど…多分まだ健全な領域やと…思う。
「腕を捕まれ…て…。怖い、やっぱり男子って怖いです!」
チーム一大人しい宍戸華(ししど はな)ちゃんはボランチです。
元手芸部で裁縫が得意だから重宝がられてるけど、男性恐怖症さえ治せば、飛躍的成長を遂げるかな?
そして最後の一人が…。
「何それ?自業自得じゃない!
赤松くんも、雨森くんも困らせてるの貴女じゃないの!」
吐き捨てる様に部屋から出て行ったのはさやかの双子の姉で、チーム一番のテクニシャンの伊達まどか。
竜と安国寺くんのBL展開をいつも笑っとったけど…。
バレンタインにウチらに内緒で竜にチョコレート渡したり、何かと怪しい行動を取るし…。
でも…まどかの言うことは間違うてない。
ウチの中途半端な態度がまどかにも雨森くんにも迷惑かける。
どうせ今度の合宿は男女別々なんや。
フラれてもええ、覚悟決めな…。続