美しき空は春の色~前編 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

「大谷さん、もういいだろ?ホワイトデーの返事を聞かせてくれ?」

「…返事せーへんのが返事や思いますけど…。
部活あるんで、ほな。」

修了式の今日、残念な通知表をカバンに入れて部活に向かおうとした所を、クラスメートに捕まってもうた。

相手は男子テニス部の雨森信介くん。
バレンタインデーにクラスの男子達に女友達のグループでチョコレートをあげたら(殆ど『配った』に等しい)、ホワイトデーにこれ見よがしにウチに花束渡して「好きだ!」なんて言いよって!しかも昼休みの教室でわざとらしく!
ウチを笑いもんにすんのがそんなに面白いか?
あんまり腹立つから無視しとったけど、強引に校舎裏まで連れてこられて…。

「それでも!大谷さんの返事が聞きたいんだよ!」

野球部やサッカー部と違って、チャラチャラしたんがテニス部に多いけど、こいつはその代表格やな。あんまええ話は聞かん。

「フツーの女に飽きたら、ウチみたいなんを珍獣扱いか?
ウチは笑えん冗談が一番嫌いや!!
付き合うとか以前の問題や!サイナラ!」

どうせウチは可愛いないわ。
作り笑顔で

「お友達からでいいなら~。」

なんて死んでも言えへん。
だからこんな男が寄って来て、さやかは柿崎先輩みたいな優しくて誠実な彼氏(?)が居るんかと思うたら情けなぁなるけど…。
とにかく今は逃げたい!

「待てよ!」

「…嫌…。」

強引に手首を握られて邪魔される。
いつものウチやったら反対の手で顔面殴ってんのに、何やの?怖くて力が…。

竜!助けて!何で今ここに居らへんの?

手首を握ってる反対の手の指が、ウチのうなじから襟足に触れられる。
いやぁ気持ち悪ぅ。

「君は自分で自分の魅力がわかってない。
短い髪、乱暴な言葉遣い、サッカーの才能。
どんなに男みたいに振る舞っても、俺は君の女の部分を愛してる。
今、わからせてやろうか?」

「や、やめてください。
好きでもない人からそんなことは…。」

気付けば涙が出てた。
こんな時にだけ女らしくなる自分に腹が立つ。

彼も泣き出したウチを見て、流石に動揺して…。

「赤松だったら許してたのかよ!?
チャンスがある限り諦めねーぞ!
それでも俺は好きなんだよ!」

と、言い捨てて去った。

竜も雨森くんも良く知らん人から見たら「自信家」なんやろう。
でもわかった。雨森くんは自信の無さを、他人の心を奪うだけで誤魔化してるだけや。
私の竜とは違う