※前編をまだ読んでない方はまずそちらを
****
「ど、どうぞです。」
「お邪魔しま~す。」
か、覚悟を決めるです。
もう、避けられないです。
いえ、覚悟とはそういう女としての覚悟ではなく…って、私は誰に言い訳してるですかー?
下校中、意識し過ぎて息は苦しいし、顔は熱いし、西九条くんの顔をまともに見れなかったです。
西九条くんは私の家で二人きりになるという、この状況を全く何とも思わないのでしょうか?
いえ、そういう事を気にしない彼だから私は覚悟を決めたわけで…。
だから何の覚悟ですかー?
昨日からあんな状況やこんな状況しか頭に浮かばないです…!
****
「ここが私の部屋です。
フライベルグ!
ただいまです。」
「へぇ~君がフライベルグちゃんか、三毛猫ってことは雌か?可愛いね。飼い主に似てるな!」
そ、それは私も可愛いということでしょうか?
わ、私はどうなってしまうのでしょうか?
「ウ~。」
「おいおい、そんなに怒るなよ。」
(わ、私は別に怒ってないです!
ただ、この状況の受け止め方に温度差が…。)
「じゃぁ、抱いとくか?」
(な…部屋に入るなり直球過ぎるです!これでは男子サッカー部と同じです!
そういう風じゃない西九条くんだから私は…。)
「いくら大人しい猫でも、初対面の俺を警戒して当然か?
愛ちゃん、悪いけど俺のスケッチが終わるまでフライベルグちゃんを抱っこしといてくれ。」
「あ…それくらい御安い御用です…。」
じ、自分が恥ずかしいです。
「こんな感じでいいですか?」
「あぁ、やっぱり飼い主の手の中だと落ち着くみたいだな。(笑)。」
これでは私が絵のモデルみたいです。
そういえば、一緒にスケッチしたり、サッカーしている私を無断で描かれてたことはありましたが、正面から描かれるのは初めてです。
も、勿論、猫が主役なのですが…。
絵を描く時だけ別人の様な情熱的な視線を浴びれるのは、悪い気分はしないです…。
「完成だ!ありがと、いい子だったな!フライベルグちゃん。」
「わ、私までこんなに綺麗に描いて貰って悪いです…。」
帰り支度をしながら彼は…。
「先月は美術部みんなにキット○ットありがとな。」
「べ、別にあれはバレンタインデーとして普通の…。」
「俺からのお返しだ…。」
「…え?」
「好きだよ。」
痛いくらいきつく抱きしめられ、返事も聞かずに帰られたです…。終