「私が?みんなちゃんとクラスで担任の先生から受け取ったんでしょう?」
卒業式終了後は、高級ホテルの宴会場を予約しての謝恩会。
榎田グループの恩恵に授かれるのもこれがホントに最後ね♪
そして私達はこの会場で、三好先生から卒業証書を一人ずつ受け取ることを希望した。
自分のクラスで散々泣いたけど、それでもやっぱり全員が希望しました。
「みんな三好先生から受け取りたいんです。
部活の顧問の先生がすることじゃないけど…。
ほら、ちゃんと五十音順に並べてますから…。」
「先生、これが終わらないと後輩達が飲み食い出来ませんよ!」
「わかったわ。
サッカー部顧問として、最初で最後の出席を取るわ…。」
「榎田徹」
「はい!」
「卒業おめでとう。
徹が榎田グループの御曹司としてプレッシャーに苦しんだことよりも、正ゴールキーパーとしてのプレッシャーに闘い続けたことを誇り思いなさい。
スポーツエージェントという夢が見つかり安心しました。
貴方は私の誇りです。」
「片倉士郎。
卒業おめでとう。
人は夢の数だけ強くなれます。
安心や安定よりも金メダルという栄光を求める貴方は、高坂さんの誇りです。」
「高坂瑞穂。
貴女の力と才能は貴女だけのものじゃない、それがわかってくれたことは、私の教師生活で最高の実績です。
ドイツのフランクフルトからでも片倉くんを支えてあげる方法はきっとあります。
卒業おめでとう。」
「真田正行。
卒業おめでとう。
輝かしい経歴ばかりでなく、敗北も貴方の財産です。
影となり、みんなを優先し続けた行為は私が知っています。
これからは何があっても勝ち続けなさい!そしてどこまでも上り詰めなさい。
但し、それが出来るのは京子さんが居るからということを忘れてはいけません。」
「島敦子。
卒業おめでとう。
貴女が『リトルマリア』と呼ばれていたことは知っていました。
私の目の届かない場所で、私の代弁者となってくれて本当にありがとう。
発売禁止にならない程度の貴女の小説を楽しみにしています。
ネタに困った時は、メンバーを思い出しなさい。」
「武田輝。
卒業とJリーグ入団おめでとう。
貴方のリーダーシップがプロでも通用することは先生が保証します。」
「内藤京子。
卒業式後の真田くんに群がる後輩女子を静観出来たのは、貴女の高校生活最高の働きです。
そのように導けた私は女として自分を誇ります。
卒業おめでとう」
続