あくまで魔が挿しただけなんだからね!28 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

12月28日 昼

「まさか…にわかに信じられぬな…。
久美子殿と奈々子殿は学生時代からの親友ではないか?」

「サタン様ネットの匿名性わかってない!
パイモン知ってる!ルシファー様が出て来なくて退屈だから、パイモン人間界のネット勉強した。」

…バティンはパイモンの『芸術と科学』に期待して『ロストファイブ暗躍の謎解き』を余に進言したのだろうか?
しかし、インターネットに関しては『理数の魔王』アスモデウスが精通してるはずだが…?

「サタン様、論より証拠!
せっかくアパートにパソコンあるなら、今からバイト先のサイトにアクセスする!する!」

そこには余の知らない奈々子殿の世界が広がっているのかもしれない。
久美子殿はその奈々子殿に何か想う所があったのかもしれない…。
だが、問題はそこではないのだ…。

「パイモン、そのノートパソコンは魔界宮殿のホストにしか繋がらないんだ…。
マモン爺の許可が降りなくてな…。」

「信じられない!サタン様をそんな冷遇するなんてマモン爺非道い!
今は緊急時代!早く魔界に連絡して接続してもらう!」
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「左様な理由ならば、佐田星明様のネット環境は経費と認めさせて頂きます。
アスモデウスがそちらに居ましたら、直ぐにでも回線を接続してくれるはずでございます。彼女は『理数の魔王』でございますから…。」
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マモン爺の許可が降りて、アスモデウスの回線工事も終了した。
人間界に来て3ヶ月、漸く余はバイト先の『アジアン雑貨ティンブー』のホームページを閲覧することに成功した。

そこは単純な建物の外観から売れ筋商品と、占い好きな副店長の北御門殿のおまじないグッズや占いコーナーが掲載されてたのだが…。
それよりも驚いたのは『この中に居る』奈々子殿の存在だった。

「奈々子の小部屋」と名付けられたそこには、とりとめのない言葉と自身の写真を掲載する奈々子殿に対して、数多くの『ファン』が狂喜のコメントを送り続けていた。

「…これが本当に奈々子殿か?」

どの画像を見ても、自信に満ち溢れた笑顔の奈々子殿がいた。
余はおろか、ドライバーの赤羽根殿にさえ見せたことの無い笑顔だ。
ファンの中には、何を勘違いしてか、愛の告白のコメントをしている者までいる。

「だが、おかしいではないか?奈々子殿を慕う者があれば、何故店に直接会いに来ない?何故、休日の奈々子殿を誘わない?」

「それがネット住民です。」