「く、久美子さん、す、すみません…。」
「あら、ごめん。歯ぁ当たった?」
「いえ、そうではなくてこうゆう行為は、その職業の女性が…。」
「今までの子はしてくれなかったの?
それとも、もしかして私、『桜狩り』しちゃった?フフフ、可愛いギャップが佐田くんの魅力よね~。
うん、口技は彼氏の為に我慢して頑張る子とか居るけど、私は好きよ♪
…じゃあさ…佐田くん、そろそろ来て…。」
これはやはり久美子殿が言われるように過ちだろうか?
『姦淫』の罪は「他人の妻(または夫)を寝取るな」であり、独身である佐田星明が、同じく独身である久美子殿とこのような行為に及んでも、奈々子殿に後ろめたいことは何もないはずだ…。
いや、奈々子殿が受諾さえしてくれさえすれば、そもそも…。
「どしたの佐田くん?気持ち良すぎてボーッとした?それとも…奈々子のこと考えてた?」
「いえ、決してそんなことは…。」
「嘘つけない佐田くん好きよ。
強引に誘った私は罰を受けないと駄目だかな?
うん、わかった…。
ほら、これならお仕置きしながら出来るよ…。
…叩いて。」
「久美子さん、それは獣の体勢…。」
「えっ?あっ、そっかぁ。佐田くんのご両親って、海外飛び回る仕事ぽいって奈々子言ってたね?
獣とか商売女って、東ヨーロッパの文化だっけ?
いいよ、相手の嗜好に合わたいから…。
例えば、佐田くんが大好きな奈々子ちゃんにだってなれるんだよー?」
そう言った久美子殿は、ベッドの上に一糸纏わぬ姿で仁王立ちしたかと思えば…。
「ホラ、大好キナ奈々子チャンダヨ…。」
久美子殿の肉体がみるみる奈々子殿の身体に…。
そして左の内股には反転契約の鉤十字の紋が…。
「久美子さん、何故…?」
罠だ。久美子殿がどんな理由で悪魔と接触を持ったかはわからない。
だが…それよりも、余の男の肉体が、外見だけは奈々子殿の全裸姿を、拒めない状況に陥る。
(限界だ!)
と思った時、
「バシャン!」
バスタブに張った水面から突然出現した女性。黒のレザーの服に鱗のタトゥー。
「ごめんね~、水面が無いとあたし転移魔法使えないの。
閨の邪魔なんてしたくたいけど、契約を守るにはこれしかなくて♪」
第五の罪・嫉妬の魔王レビアタン!
「駄目よ『佐田くん』。久美子ちゃんと寝ちゃったら、『姦淫』じゃなくても『嫉妬』に堕ちちゃうよ♪
お説教は『夢見の悪魔』ガミジンを退治してからね♪」