「佐田星明くん…22才っと…。
身長183センチ、体重は74キロ。胸囲90センチ。う~ん、惚れ惚れする理想的な体形ね~。
ねぇ、奈々子、要らないならあたしにくれない?」
新規会員のファイルを作る為に佐田くんのデータを取る久美子。
いくら今あんたがフリーだからって、それはちょっと…。
「だ、だから私達はそんなんじゃないから私に聞かないでよ!
佐田くんだって彼女くらい居るよねぇ?」
あれ?私ったら意外とハードル高い質問を楽に言えたかな?
うん、気になるか気にならないか、って聞かれたら気になるわよ、やっぱり…。
「…恋人のような関係の女性は居ませんよ。
ただ…気になる女性は居ます。
愛する人に裏切られたと思い込み、いつまでも傷を抱えてるその女性には早く立ち直ってほしいと思います…。」
ふーん、まぁ好きな人くらいいて当然よね、このくらいの男の子なら。
会って一日目の私達にこうやって言ってくれる方が誠実だわ。
「(小声で)ちょっとサタン様、そこは奈々子さんを推す所でしょう?何で昔の…。」
「本当のことだ…。」
喫煙室から戻って来たら曽根先生と佐田くんはとても打ち解けた感じでした。
しかも心なしか佐田くんの顔色が元気に…。
これもカリスマダイエットインストラクターの曽根マジックなのかなあ?
「じゃあ、次はこれね。」
と、油圧式のベンチプレスを設定される。
「本物のバーベルじゃないから、上がらなくても怪我しないから安心してね。70キロくらいいける?」
「いえ、100くらい…いえ、遠慮して90キロくらいで…。
ハッ!」
「凄~い!佐田くんベンチプレス90キロね」
「握力は80キロ!凄~い!」
(ベルゼバブめ、ほどよいメンテナンスをしてくれたものだ。
しかし、四六時中ブレスレットとチョーカーを外せないのは厄介だかな…。)
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「落合さん、今日はありがとうございました。」
「ううん、こっちこそ久美子が失礼なことばかりごめんね~。
あの、佐田くん…。」
「ブルン、ブルン、キー!!」
ジムを出て、通りで「ありがとう」と言おうとした時、ミニバイクの二人組が…。
「私のバックー!」
こんな時にひったくり被害に遭うなんて最低!
カードもお財布も…。
「来れ!ソロモンNo.18瞬速の悪魔バティンよ!」
犯人の方を見てたら、いつの間にか佐田くんが黒いバイクに乗ってる!
「…小物が!その罪を悔いよ…」