「そ、曽根先生、ちょっとこちらへ…。」
「はぁ~い、暫く彼氏借りるわね、ごめんなさぁ~い。」
一度フィットネスルームを出て、無人の喫煙室に(何故、この施設にこんな部屋がある?)連れて入る。
「どぉいうつもりだベルゼバブ!」
「あら、一目で見破るなんて流石サタン様♪」
魔界の副将軍にて、余の右腕たるベルゼバブが人間界に溶け込み『カリスマ・ダイエット・インストラクター』だと?カリスマと言われるからには、余の知らぬうちから人間界で名を挙げて…。
「余にはこんな脆弱で扱いにくい肉体を授けておいて、自分は人間共にちやほやされて結構な身分の副将軍様だなぁ、あん?」
「あらあら、若い肉体は総統閣下の威厳まで損なわれちゃうのかしら?
駄目よ、『憤怒』のサタン様が怒りの罪に堕ちると…。」
「ま、待て!余は今は人間だ…!担当の罪は…。」
「駄目よ、サタン様。
この状態で罪に堕ちれば…。」
「あぁ、余が怒りの罪に堕ちた途端に、ルシファーと主人格が交代する。
佐田星明の肉体に女性人格のルシファーが宿っては最悪だ…。
ミカエル殿に申し訳がたたぬ…。」
※あくまでメモなんだからね!
魔王達は、担当する罪を自分で犯せば魔界裁判所に告発され、魔王のクラスを剥奪されます。
それは大魔王サタンでされ例外でありません。
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「時にベルゼバブよ…。」
「曽根晴人、27歳よ。」
「おい、曽根!」
「カリスマダイエットインストラクター曽根先生よ♪
私達はこの二年間、『佐田星明』を人間界に送り出すのに苦心して来たんだから♪」
「曽根先生、質問があるであります!」
「なぁに?可愛い生徒ね♪」
「何故、そんなに曽根先生は人間の肉体を快適に扱えるのでありますか?
自分は疲労困憊であります!(魔界に戻ったら憶えておれい!)」
「私達より魔力が強いサタン様が一般人として振る舞うのに苦労するのは当然よ。
でも左右に付けた封印のブレスレットだけじゃ足りないみたいね。
チョーカーも付けとくわ。ほら。」
「むぅ…。更に脆弱になった気がするが…制御が利かぬよりマシか…。」
「そうそう、大事な事を言い忘れてたわ。
『悪魔は人間と契約しないと悪魔として実体化出来ない』
だけどサタン様は今は人間よ。
意味わかる?」
「そうか…。人間の佐田星明は…。」
「そう、ソロモンの悪魔を召喚し放題よ。『対価』の範囲内でね♪」
…余に対価だと?