検索対象を、サミアちゃんと交流のあった明治の男性に変えても、結果は同じだった。
名前も生年月日も判らない人を調べても情報が少なすぎる!あの時、昔話を聞いてれば…。
疲れはてて寝落ちしてしまい、気が付けば学校に行く時間だった。
いや、正確には南町公園で燿子ちゃんと合流して、対策を話す時間だった。
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「おはよう、燿子ちゃん。」
「おはよう、賢司くん…。私、今日、学校に行きたくない!時間ないよ!今日の日没までに、謎解きしないといけないのに、午後まで授業やってられないよ!時間の限り、サミアちゃんの本名を調べて…。」
燿子ちゃんの言うことは最もだった。
確かに時間がない。悪魔との賭けに負けて皆と離ればなれになるなんて絶対に嫌だ!
でも…その為に無断で学校を休んだら、やってることは悪魔と一緒かも。
「燿子ちゃん、駄目だよ。
僕達は僕達の日常を大切にしないと、サミアちゃんにも悪いよ…。」
「そんなのわかってるわよ!でも、私、黙ってじっとしてなんか…。」
「…反対にご協力下さい!
…署名お願いします!」
聞き覚えある大人の女性の声に会話を止める。
公園の前で手作りのビラを配るのは…。
「山南先生!」
担任の先生が公園の前で、駐車場建設の反対署名とビラ配りを一人で!
「おはよう、森崎、栗原。
もう、そんな時間か。
今朝はここまでだな。」
「先生、どうしてこんなことを?」
「私は生まれも育ちもこの町だ。
大切な場所を守りたい。
それだけさ。」
「でも、公立の教師が市が決定したことに抗議って、山南先生の立場ヤバくなりません?」
「ウチの旦那みたいなことを言うな…。
私はただ…ベストを尽くしたいだけさ。
行動を起こさずに結果に反対する連中になりたくないだけさ。」
僕は先生がいつも言う「連帯責任」の意味が少しわかった気がする。
「先生を誤解してました!」
「栗原、私はそんなにイメージと違うのかい?」
「はい、先生って結婚出来てたんですね!?」
これは燿子ちゃんの照れ隠しと思いたいな…。
僕達はクラスメートに公園のことを一応呼びかけたけど、先生は教室ではこのことを話さなかった。
***
授業が終わり、塾が無い今日は速攻で宮崎さん家に行く。
「サミアちゃん、ただいま!」
「おぉ、おかえり。妙子、お前が所有してる『魔女っ子戦隊テッペキ!』のDVDがワシは観たいぞ。」
何かのヒント…かな?続