「ゴホッ、ゴホッ…、賢司、燿子、ワシに構うな…。
ワシは一人で脱出する…。」
建築車両が公園に入り、騒音と排気ガスで僕達まで気分が悪くなる。
でも、僕はサミアちゃんと公園を守るんだ!
「坊や達、危ないから早く外に出て!」
「イヤ、触んないでよ!セクハラで訴えるわよ!離しなさいよ!」
「燿子ちゃんに乱暴するな!」
「ほら、坊や。彼女を想うなら早く出て行って!工事で危ないから。」
「賢司くん、こうなったら最後の手段よ!
サミアちゃん、苦しいけど最後の力を貸して!私の今日のお願いよ。『公園の工事を止めさせて』よ!」
そうか!サミアちゃんの魔法は日没までだけど、取りあえず今日の工事を中止させるには十分だ。
「な、なるほど…。やむを得んな…。ゴッド…ブレス…ユー…。」
サミアちゃんは力を振り絞り、燿子ちゃんに息を吹き掛ける。
これで工事が中止なるはずだ。
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「レ、レビアたんは私に妖精さんを…?」
魔王レビアたんは間違いなく私に「妖精殺し」をさせようとしてる…。
確かに水が苦手な砂の妖精が、ペットボトルの水を被れば致命的だけど…何も私はそんな『引き裂き』を望んでは…。
「妙子ちゃんにはまだ無理かなぁ?
サミアッドは悪あがきで魔法を使ったみたいね♪
ホントならそれで脱出出来たんだろうけど、妖精も『契約主』には逆らえないのねぇ。」
「契約…?レビアたんはあの砂の妖精さんを最初から知ってたのですか…?」
「まぁね♪魔王クラスは顔が広いの♪
それより妙子ちゃんが水をかけなくても、サミアッドは自身の魔法で自滅するわ。嫉妬の魔王が操る『運命の輪』には逆らえないんだから♪」
***
「ザアー!!」
「ウソ?何で突然?」
「現場監督、この豪雨じゃ工事継続は無理です!」
「うむ、わかった、今日は解散だ!
坊や達、『願い』が叶って良かったな!
乱暴に掴んですまんなお嬢ちゃん。
言っとくが俺はロ●コンじゃぁないからな!」
確かに工事は中止になった。
でも、排気ガスに苦しんでるサミアちゃんに突然の豪雨は最悪だった。
「しっかりしてサミアちゃん!
こんな雨に負けないでよ!
『水神』との契約で水は平気じゃないの?」
「ワシの契約は突然の雨や水害での即死を避けるまでで、長時間雨に打たれれば同じじゃ…。」
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「キー!」
公園に乗り付けた一台のタクシー。
中には妙子ちゃんが!
「乗って下さい!」