こうして私は、25番目の悪魔、カールクリラノースくんと契約しました。
賢司くんと仲良くなる為に、私に必要な文学の知識を授けてくれる悪魔さんです。
代償に私は何を払わなければいけないのか不安はありますが…。
今は、頑張って勉強するのみです。
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「なるほど、お嬢ちゃんの想い人は確かに児童文学や小説に詳しいようだな。文庫では『海底2万マイル』や『ハリーポッター』、漫画では『鋼の錬金術士』だな。」
「は、はい、頑張ります。」
「俺はあらゆる文学書籍の内容を契約者の記憶にチャージできる。
一冊ずつ読むより遥かに早くて鮮明だ。」
「それはどうやるんですか?」
「おでことおでこを重ねるだけさ…。
パーマンのコピーロボットと同じだな…。」
「お、おでこを?」
は、恥ずかしいです!
いくら悪魔でも、カールクリラノースさんの外見は30代後半から40代前半の男性ですので…。
知識を授かる度にこうするんですか?
どうしよう…?
「何をためらってんだい、お嬢ちゃん?」
「いえ、その…カールクリラノースさんは変身魔法とか出来るんですか?」
「何でえ、この格好に不満かい?ダンディな紳士を気取ったつもりだが、お嬢ちゃんのお気に召さないのかい?」
「いえ、そうじゃなくてですね…。」
「言いたいことははっきり言いな。
じゃないと、知識が付いても、意中の男との距離は縮まらねぇぞ?
まっ、それは俺の契約外だが…。」
「わ、わかりました。
は、はっきり言います。
パパより年上に見える男の人と、私の部屋で二人きりでおでこを合わせるなんて気持ち悪いです。」
「はっきり言い過ぎだー!3000年ぶりのショックだよ!
ふん、けっこう傷ついたけど仕方ない。
俺は変身魔法は苦手なんで、元の悪魔の姿に戻らせてもらう。恐怖で漏らすかもなぁ?」
「そ、そんな悪魔の姿ですか!?」
ど、どうしよう?私、人一倍怖がりなのに…。
「あれ?これが正体ですか?」
そこには蝙蝠の翼が生えた白い毛のマルチーズの姿がありました。
「可愛い♪昔飼ってた愛犬のカカオちゃんそっくり~♪」
「笑うな!後世、俺の姿は恐怖を煽る為にドーベルマンに蝙蝠の翼で描かれているが…これが正体だ…。」
「うん、これならおでこ付けても全然平気よ♪
宜しくお願いしますね、カールクリラノースくん♪」
「くん付けかよ!いいか?俺の本名と本職は…いや、それは違反だな…。」