塾から帰宅した僕は必死に「サミアッド」について検索した。
五年生の僕は携帯電話を持ってないから家のパソコンで調べる。
お母さんの通販や、お父さんのブログ更新の合間を見て検索するのは大変だ。
やっぱりお年玉でゲームソフトじゃなく、自分のパソコンを買うべきだったかな?
「サミアッド…。サミアッド…。」
うわぁ、思ってたよりヒットしないなぁ…。
と、思ってたら…。
メールが届いたことをアイコンがしらせる。
勿論、燿子ちゃんからだ。
「どうせ、サミアちゃんの正体が気になって今も検索してるんでしょう?早く寝なさいよ!知りたいことはサミアちゃんに明日直接聞けばいいじゃない?
おやすみなさい。
燿子
PS 追突事故の気にしないで、って言ったけど、全く気にしてない賢司くんも何かヤだな…。」
燿子ちゃんの言うとおり、僕は早目に検索を切り上げた。
「衝撃の事実」は案外早目に見つかったから…。
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今日は土曜日。
昼で授業が終わると、僕と燿子ちゃんは一目散にあの公園の砂場に向かった。
「ねぇ、居るかなぁ?」
「僕に聞いてもわからないよ!居たとしても見えないかもしれないし…。」
昨日ウェブ上に記載されてたことが事実なら、僕らは昨日と同様にサミアちゃんに砂場で会える。
でも、もう二度と会えないなら、それ以上知りたくもないから丁度良い気持ちも確かにあった。
だけど、会えないことを望むなんて友達じゃない!
『居た!』
昨日の様に砂を掘り返さないと出てこないかな?
なんて危惧することもなく、サミアちゃんは居た!
それも砂場に胡座をかいて、眼鏡をかけて新聞を広げて読んでいた。
「ほう、今帰りか?」
「こんにちは、サミアちゃん♪うわぁ、その恰好オヤジ臭いよ~それに眼鏡もお洒落なのにしたら?」
昨日の衝撃の登場と打って変わって、生活感溢れるスタイル。
魔女の姿をした英国少女のすることとは思えない!
「211歳にもなると小さい文字が見にくいんでな。
漢字は複雑だし、そもそも生物の目は遠くを見る為に進化したから、ワシは老眼には対応しておらぬ。」
「211歳!凄~い。サミアちゃんって、バンパイアとか年取らないアレと一緒ね。」
燿子ちゃんは驚いたけど、僕には想定内だ。
「そう、特にカタツムリの目を持つサミアちゃんには深刻だね?」
「調べたか?感心だ、少年よ」
「手足はサル、クモのお腹。『砂の妖精・サミアッドさん』」