「見よう見まね、グングニル!」
意を決し、雷槍を投擲したジャスティス。
私達四人も自分の魔力を付与する。
『私達の力を、アイアンジャスティスの元へ!』
変身を解き、魔力を込めたアイアンマテリアルそのものを投げつける。
「属性を超えた集束魔法を会得する時間はありませんでしたからね…。
パワーアップさせるにはこれしか方法はありません…。」
テッペキ!戦士として文字通り最後の攻撃。
4つのマテリアルが追加されたグングニル(雷槍)は正確にオーディーンのフレイアの心臓を射抜いた。
「トオルさま…。今度生まれ変わったら人間に…。」
そしてそれは勿論、フレイアを押さえ付けていたインモラル大魔王の心臓をも同時に射抜いたことを意味していた。
「…こ、これでいい…。恵…丈夫な子を生むんだぞ…。必ず会いに行く…バンパイアは不死身だ…。」
「ダーリン…貴方は立派よ…この子の誇りだわ…。私、待ってる…。必ず帰ってきて…。」
恵さんが悲しくないわけがない。
だが、妖怪の力で助かった多くの命。
一少女によって実行された「神殺し」。
そして…。
「ガブリエル…。
ごめんなさい…。貴女は頑張ったわ…。
でも…。赤ちゃんは…。ごめんなさい…!」
「ウリエル、貴女のせいではありませんです。
天使といえど万能ではないです。
ジーザスの転生した姿とかではなく…。
ガブリエル…赤ちゃんは…死産だったです…。」
ラファエルの声を合図に堰を切ったように流れる泣き声。
「天使さまの赤ちゃんは?」
「麗美ちゃん、天使さまの赤ちゃんは、生まれて直ぐに天国に呼ばれたのよ…。」
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「みんな!悲しんでるヒマないわ!大事なこと忘れてるわ。大魔王と同じく、将軍も戦闘不能なら、私の力だけじゃ、この亜空間から脱出出来ないの!」
デザイアから告げられた衝撃の事実。将軍は未だに回復しない。
「このままじゃ、私の魔力が尽きた時点で全員がこの亜空間に永久に閉じ込められるわ!」
「わ、わかりました。私の命に代えてもここから脱出を…。」
「今、動いたら駄目です!無茶しないで!」
大魔王との天秤を見たばかりなのに、私は真田さんの犠牲を容認出来るわけなかった。
私は全員を敵に回しても、真田さんに魔法を使わせたくなかった。
「人間とはどこまでも世話が焼ける…。」
最後の力で立ち上がったオーディーン。
「私の愛馬スレイプニルが役に立つさ。」