「うぉ~あぁー!」
草原を駆けるホビット族らしく、相良さんことリビドー軍曹はオーディーンに単独の特攻をした。
今は、将軍の作戦を信じるしかない。
鮮やかに自分と私を無人島から救った時のように、神をも欺く貴方の知恵に期待してる。
その為にはまず相良さん、貴方が!ホープとの愛の為にも頑張って!
「素早いだけのホビット族に何が出来る?
槍の弱点である、接近戦に持ち込みたいのだろうが、その程度の早さでは…残像とは言わぬ。」
「わかってるよ!こっからが本番だ!
『朧・八ツ身分身』相良さんの神速により横に四人、更に上段に四人出現し、構えたダガーを一気に降り下ろす!」
八つの刃からは逃れられないはず…。
「…つまらん…そこだ!」
惑わされることなく、一体に狙いを絞り、槍を繰り出すフレイア。分身は全て消え…。
「残念。全部はずれだよ♪
言ったろ?八ツ身分身て。八体全て分身で、本体はここだよ!
『タックルは膝から下ー!』」
掻き消された八体の分身の影から現れた相良さんの実体!
地を這う片足タックルで、フレイアが左手を地面に着く。
「バカな!妖ごときに…。」
「今です。大魔王様!」
バランスを崩された所に頭上からバンパイアの大魔王が殴りかかる!
「最強妖・バンパイアの一撃を…。」
「こざかしい真似を!『轟き渡る雷槍の投擲』」
足を捕られながらも、半身から右手一本でグングニルを投げつけたフレイア!
その槍は正確に巨体の中心を深々と貫き、大魔王は亜空間の地面に大の字に倒れ、グングニルが垂直に刺さっていた…。
「イヤー、ダーリン!!」
結界から半狂乱の声を上げる恵さん。
だが…。
「…羨ましいほどの愛されぶりですね、大魔王様?」
串刺しになって倒れた大魔王が、「大魔王様」って言った!それじゃあ…?
「インキュバスは幻術の妖。
かかりましたね!」
「そんな!まー君!!」
大魔王の姿から元の姿に戻ったナイトメア将軍!
文字通りの捨て身の変身魔法だった。
「軍曹、将軍。上々だ。
背後はもらった!神ならば、バンパイアの腕力を知らぬわけではなかろう?」
後ろからフレイアの首に両腕を巻きつけ、自由を奪う。
「それで勝ったつもりか?私の掌からの電撃を忘れるな…。」
「思ってないさ。
真の目的は…。」
「さぁ、ジャスティス、私の身体に刺さった雷槍を使うのです!雷属性の貴女なら…」
「しまった…!」