「ガブリエル。天使が人間に私的制裁を加えるなどと、啓示課長の権限を逸脱してるです。
守護課課長として見過ごせないです。
マキも、慈悲課として権限を発動してもいい状況です。」
「♪ミカエルが許可しないと、やりたくなーい♪」
「今はそんな悠長な状況にないです!伝導課は激務ですから…。」
ええと、どうやらアイちゃん、マキちゃんもマリアと同じくらいに偉い天使さんみたいです。
まさか二人は残りの…?
「総司令マリアよ、貴女が産む子供が、どれほどの地上の救いとなり、癒しとなるかは想像に容易い…。
だからと言って、『はい、そうですか。』と、私の妻と子供を、そして我が魔王軍をはじめ、亜人の 命を危険に晒すわけにはいかない。
文字通り、天に背いてでも…。
『力の大妖』と呼ばれたヴァンパイアの拳を受けてみよ!」
大魔王から溢れでる妖気は『邪念』のレベルを越えていました。
生きようとする意志、欲望、本能、命。「生命エネルギー」そのものを自らの拳に乗せていました。
「天界の都合で虐げられ続けた者の痛みを知れ!」
マリアに対するインモラル大魔王の怒りは最もです。
でも…。
「ダーリンやめてえぇー!!」
恵さんの言葉に拳を止める大魔王。
しかし、マリアもカウンターで光の矢を放っていた。
「暗くて重い闇の祠(ワーム・ホール)」
島さんがデザイアに変身し、重力魔法で矢を吸い込む。
「妊婦なのはマリアも一緒よ、ねぇ恵さん?」
「はい、それを言いに…。ダーリンごめんね。」
「人間」恵さんは、怖がることなく、『大天使ガブリエル』こと、私達の総司令マリアに近づく。
「彼に出会ってなければ、ヴァンパイアが居ることさえ、信じてなかったです。
私はただの人間です。
前世とか、天界とか言われてもわかりません。
でも、自分の子供だけが可愛い気持ちもわかります。
お互い母親ですもんね。
バカな私が世界の秩序や法則なんか全然理解出来ないけど…。
お願いします、お互いに仲良く出来る方法ってありませんか?
これから生まれる私達の子供が平和の象徴となるような世界に…。」
それは、恵さんの率直な気持ちでした。
テッペキ!戦士とか、魔王軍とか関係ない、ただ平和を願う気持ち。
しかし…最後の来訪者さえ来なければ…。
「そこまでだガブリエル!」
突然、雷鳴と共に現れた銀髪の女性。
「対魔課北欧主任オーディーンのフレイア。勅命を実行する」