魔女っ子戦隊テッペキ!22 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

それは南部さんと瑞穂の予想通りだった。
「人間・真田正行」として北条祭に訪れたナイトメア将軍は躊躇なくクレープ屋店員の相良優矢さんの下に向かった。

「部下」と言いかけ、「後輩」と言い直した。
相良さんがナイトメア将軍と同じ魔王軍の仲間は明白だった。
想いを寄せる柳生ちゃんの気持ちを考えると辛かった。
きっと、私達テッペキ!ガールズを瓦解させる為に近づいたんだろうけど、柳生ちゃんの純愛を想うと…。

「茶番劇はもう止めて!
どうせなら魔王軍として堂々と学園に乗り込んだら!?」

言ってしまった。
でも我慢出来なかった。
ごめんね、柳生ちゃん。私、きっと真田さんへの気持ちを柳生ちゃんと相良さんのせいにしてるね。
私のこと恨んでいいよ…。

「やはりそうだったんですね。
早く言ってくれたら良かったのに…。
戦闘員さんですか?
それとも…。」

「俺は魔王軍・調練教育長のリビドー軍曹。
種族はホビットだ。」

包み隠さず薄情する相良さん。
ナイトメア将軍も無言で頷いている。

「ホビット!あの指輪物語の可愛い主人公さんですか?
うわぁ、優矢さんにぴったりですぅ~。何か…嬉しいです。。」

いつもの、ううん、いつも以上に満面の微笑みを相良さん、いいえ、魔王軍リビドー軍曹に向ける柳生ちゃん。
それは彼氏のことを何でも知りたい乙女そのものだった。

「ねぇ、柳生ちゃん、何とも思わないの?妖怪よ?魔王軍よ?」

「ご心配ありがとうございます京子先輩。
好きになった人が魔王軍だっただけですよ。
それに、ホビットってウソはつけないんです。
じゃあ、私へのアプローチは全部本当ってことなんですよ!
全くウソをつけない彼氏を与えてくれるなんて、神様は私を見捨ててなかったんだわ!」

うん、柳生ちゃんの方がホビットらしい。
未知の世界は人の心なりね。

「しかし、我々人間ではない亜人種が生き残るのは並大抵ではない。
だからこの魔法薬が要る。」

「将軍、いつも麗美のことを…ありがとうございます。
魔力もなく、『人化の術』も使えない父親違いの妹は…。」
相良さんの言葉は人間やホビットに関係なく誠実そのものだった。
誠実に妹さんを心配する気持ち。魔法薬によって人間社会の幼稚園に通えていることへの感謝があった。

「柳生…いや、恵里菜さん。
俺と一緒になれば麗美みたいな不幸な半妖を授かるかもしれない。
それでも君が好きだ!」

「…私もです。」