「自分は反対です!
あの男、相良優矢は普通の人間ではありません!
柳生さんがあの男と二人きりで北条祭を過ごすなどと危険過ぎます!明日は休まれるべきです。」
いくら変身前とはいえ、いくら剣術ではなく素手だったとはいえ、簡単に攻撃をかわされた南部先輩は動揺を隠しきれません。
同じく高坂先輩も強い警戒心を見せます。
「…特筆すべきは身体能力ばかりではない…。マキやアイの変身を最初から知っていたようだ…。
柳生、危険とわかってて同伴する理由はない…。」
一年生の私は柳生先輩の過去の「伝説」を詳しく知りませんが、せっかく好意を寄せてくれた男性とのチャンスを…って思います。
事情があるにせよ、柿崎店主や純さんが相良さんの人柄を認めたから、バイトとして雇ってるわけで…。
「あ、あの柳生先輩はどうしたいんですか?」
私にはこう言うのが精一杯でした。
「私は…相良さんに運命を感じました!
人間離れした動きとか、『こっち側』に詳しいとか、関係なく…。
温かいんです!優矢さんの真心が焼きたてのクレープのように!」
柳生先輩は情熱的に相良さんを求めています。
「南部さん、瑞穂。私ね、柳生ちゃんの気持ちわかるの。」
「京子さんまで…。」
「私が生徒会長だからじゃないけど、明日は校内、校外からたくさんの人が北条祭を楽しみにしてくるわ。
勿論、柳生ちゃんとのフリースローや、相良さんが焼くクレープを楽しみに来る人もね。
そして…相良さんと学祭を楽しみたい柳生ちゃんだって、北条女学園の生徒だわ。
私達はそんな日常を守るの為の『テッペキ!戦士』のはずよ。
たとえ彼が夢魔であれ、魔王軍の一員だったとしてもね。」
「京子さん…変わられましたね。
無人島で何かありましたか?
わかりました。では、自分が柳生さんの護衛を…。」
「駄目よ南部先輩!そんなこと言って『戯曲剣舞・るろうに剣心』から逃れたいんだろけど、言い訳にはならないわ!」
「さやかさん、自分は剣士としてこの演目を承諾しましたが、まさかこんなにセリフや踊りが多いとは…。」
私は、派閥争いから二つの公演をする演劇部に嫌気が差し、島敦子さんのススメで剣道部の演出担当をすることにしました。
「自分には、本当に過去最大の苦行でした。セリフを間違う度に島さんとさやかさんから容赦なくお仕置きの鞭が…。」
「南部さん的にご褒美でしょう?」
「はい。」
「…。」
「うわぁ~ん」