ダビデ王の隆盛3~たなく!30 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

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このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

(サムエル記下18章)

「姦淫するなかれ」

バテシバとの不倫で、十戒の掟を破ったダビデ。
本来なら、その罪は死に値するが、ヤハウェはダビデを愛し、命だけは奪おうとしなかった。
だが、不幸は着実に起こり始める。

バテシバが産んだ男の子は生後間もなく死亡した。
一方でダビデの長男アムノンは、異母妹のタマルに恋するあまり、力ずくで彼女の身体を奪ってしまう。
怒ったのはタマルの実の兄アブサロム。(ダビデにはたくさんの妻と子供が居ました。アブサロムは三男。後に王位を継ぐソロモンは末っ子に近い方)
ついに王子が集まる宴の席で、アムノンを殺害してしまう。

「妹タマルの苦しみを思い知れ!
そして父上、次はあなたの番だ!
アムノンの罪を知りながら、厳しい罰を与えず、私に兄殺しをさせるにいたったのは父上の責任だ!」

アブサロムは逃亡しました。
理由はどうあれ、兄殺しの罪を犯した自分が許されるわけないと思い逃亡を決意し、反旗を翻えすチャンスを窺っていたのです。
その後家臣ヨアブの進言もあり、アブサロムは許され、城内に住むことを許されるのですが、ダビデはなかなかアブサロムを城に呼ばず、会おうとしません。

「ならば兄殺しの逃亡犯の方が良かった」

と支持者を煽動し、武装し都に攻め込みました。

ダビデは息子の行為に深く悲しみます。
そして軍を出し鎮圧にかかりますが、家臣の命じます。

「我が息子アブサロムだけは殺すな」

と。
しかし、混乱する前線でそのような命令が通じるはずありません。

ダビデ王が再会した時のは、矢に射ぬかれて冷たくなったアブサロムの遺体でした。

「あれほど殺すなと言ったのに…。」

家臣ヨアブは諭します。

「この戦いで亡くなった兵の気持ちも考えてください。
あなたは自分を憎んだ息子を愛し、
自分を愛した家臣の死を悼まないのですか?
息子さえ生きていれば、多くの家臣が死んでも、この戦争を良しとするのですか?」

ヨアブの言葉に目からウロコのダビデ。

「さぁ、生き残った兵をねぎらってください。
さもないと、今晩あなたて共に過ごす者はだれもいなくなるでしょう。」

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はい、ダビデ王の隆盛から斜陽です。

皆様お気づきかと思いますが、反逆者のアブサロムに最後の矢を放ったのは家臣のヨアブです。

不思議と旧約聖書には道徳的な教えにはヤハウェや天使は関与せず、人間の口で語られることが多いですね。