(サムエル記上31章)
王位を奪われる恐怖の中で、サウル王はついに狂気の世界へ堕ちていく。
唯一の神ヤハウェを裏切り、異教の神に魂を捧げてしまったのだ。
「ダビデはどこだ?
ダビデは?
あいつは王位を狙っている~。」
「父上、正気に戻ってください。
そんなことよりもペリシテ人が…。」
「サムエルは私よりもダビデを選んだ、ダビデだ…。
神よ!頼れるのはあなただけだ。」
(私以外の神を信じるな)
の十戒を破った者に対して、ヤハウェは厳しい。
「愚かなサウルよ。
魂まで悪魔に売りおったか?」
父に代わり前線に出るヨナタン王子。
しかし、ヤハウェの怒りはすさまじい。
ヨナタンを含めサウル王は三人の息子をこの戦争で失った。
「ヨナタン、愛する息子よ!
もう駄目だ、全ての神々が私を見捨てた。」
サウル王は自らの剣にうつぶせになり、自害しました。
その報せは逃亡中のダビデの耳に入った。
生き延びた軍人はダビデに懇願しました。
「ダビデさま、王国を再建してください。
貴方こそ王にふさわしい。
どうか即位を。」
その時、士師サムエル時代に奪われたヤハウェの箱を載せた牛がダビデの元にたどり着いたのでした。
民衆は口々に
「ヤハウェの奇蹟だ。
ダビデ王万歳!」
と言いました。
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はい、皆様忘れてると思いますが、たなく!23話
で、ペリシテ人が祟りを恐れて、牛の背に十戒の石板とかが入った箱を載せて送り返したものです。
しかし、サムエルがリーダーだった時代で、サウル王が即位前に送り返した一頭の牛が、その息子が亡くなるまでさまよって、ダビデの元にたどり着いたのです(笑)。
はい、サウル王の在位期間が12年間だったので、少なくともヤハウェの箱を背負って12年歩き続けたのです(笑)。
はい、旧約聖書ならではのストーリーの破綻です。
なお、サウル王家は四男イシュ・ボシュテが生き残り父王亡き後即位しましたが、暗殺され、ダビデ王朝が幕開けとなります。
ダビデは逃亡中に親戚やならず者を集め力を蓄えてたのです。
しかも時にはペリシテ人とも手を組んでいました。
優秀な軍人はリアリストですね。