「サウルよ!
何故、軍を出した?
あれほど私が帰るまで動くなと言ったのに!」
「敵がすぐそこまで来てたんだ!
仕方なかったんだよ。」
火急の事態だったことを説明する若きサウル王。
しかし結果は…。
「お前のせいで、街はペリシテ人に占領された。
戦闘経験の浅いお前の判断で軍を動かすからだ。
…お前に王の資格はない。
私は新しい人物を探しにいく。」
軽率なサウルに愛想をつかしたサムエル。
宮殿を去った時に届いたのは勿論、ヤハウェの声。
「サウルとは合わないようだな?サムエルよ。」
「あの男は軽すぎます。
ほかに良い人物が居るはずでしょう?」
「ならばベツレヘムへ行ってみよ。」
小さな村ベツレヘムにはエッサイの美しき7人の息子が居た。
「この青年達か?」
と目を輝かせるサムエルだったが、ヤハウェが指名したのは奥の野原で羊を世話する少年、八番目の末っ子ダビデだった。
「私に何か御用でしょうか?」
身体は小さくとも、丁寧な言葉遣いと端麗な容姿にサムエルはとても気に入ったのでした。
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はい、ユダヤきっての英雄ダビデの初登場です。

ミケランジェロのこれです。
ダビデの話は次回にするとして、今回はヤハウェとサムエルの会話に注目したいです。
科学文明の法治国家で生きる限り、ヤハウェがサムエルに声をかけることを
「はい、そうですね」
とは言えません。
「神話」で片付けるのは簡単ですが、「教義」として何千年も旧約聖書が聖典として読まれてきたのは「学ぶべき価値」を先人が見出だしたからです。
※書かれている本ではなく、教訓を見出し、生活に転化した人間にこそ価値があります。
で、ダビデの曾祖父は前述のボアズとルツ夫妻のボアズで、アブラハムの家系になります。
ダビデが羊の世話をしていて、サウルは農家の息子。
ここにタゴン神が「農耕の神」ならば、またしてもカインとアベルに続き、農耕よりも遊牧の優越が発生します。
(エサウとヤコブはエサウの狩猟民族に対する蔑みがあるかも?)
と、なるとアブラハムの家系のダビデを推す話は既に民衆から挙がっていてそれが「ヤハウェの声」では?
有名な「ダビデの星」は六芒星。
アブラハムには6人+一人の息子です。
8番目の子供ダビデが生まれたら救世主って待望論があったのでは?