(ルツ記一章)
二人の息子を亡くし、夫にも先立たれたナオミは、生まれ故郷ベツレヘムへ移住し、静かに余生を送ろうとしていた。
「ルツ、オルバ。
私は故郷のベツレヘムへ帰ります。
お前達二人は亡き息子達の嫁としてよく尽くしてくれた。
これからは自由に生きてちょうだい」
と、ルツとオルバの二人の未亡人を自由にしました。
「お義母さま…。
私はお義母さまについていきます。」
「ルツ…。
あなた。」
「私は貴女の娘です。」
と、ルツの決意は固く、ナオミに付き添い一緒にベツレヘムへ向かうのでした。
実はルツはユダヤ人ではなくモアブ人。
異民族の義母に尽くす「変わり者」であった。
「ボアズ」
「叔母さん、お元気でしたか?」
甥のボアズを頼ってベツレヘムに辿り着いたナオミ達。
年老いた義母に代わりボアズの畑で働くことをルツは決心したのでした。
当時の貧しい人には、畑の主人が収穫中に落ちてしまった穂を拾い集める権利がありました。
拾い集めた穂は自分で食べても良かったし、主人に売ってもよく、紛れもない『財産』であった。
「ボアズさまの畑で働かせていただきます。」
働き者で義母想いであるルツを見て、ボアズも態度を変える。
収穫中にさりげなく多めにルツの前に穂を落とすのだった。
農作業に会話が弾むボアズとルツ。
その様子をしっかり見ているナオミ。
ある日ナオミはルツに告げます。
「ルツ、貴女はまだ若い。
ボアズの寝室に行きなさい。
想いを伝えるのです。」
と、紅を取り出し、そっとルツの美しき口唇に差してあげたのでした。
寝室へ赴き、忍ぶ想いを主人のボアズ夜明けまで告げたルツ。
そして…。
二人は結ばれ、息子オヘドを授かりました!
オヘドは英雄ダビデの祖父であり、イエスの祖先になります。
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はい、いい話です。
「落ち穂拾い」が未だにピンとこない私です。(拾うだけじゃなく、水やりとか運搬とかしっかり働けよ!と思うのですが…。詳しい人ヘルプ)
わざと多めに穂を落とすボアズさんがいい感じです。
私の小説でもこんな男性を描いてみたいものです。
そして冒頭の、息子二人と夫を亡くし~ってのは、一辺に失ったかもしれませんね。
もしかすると戦死ではないかと思います。
カナンの地を得る為にかなり疲弊した戦争をしていたのかもしれませんね。
因みにモアブ人はロトの章で出てきたあの近親婚で生まれた民族です。