「おぉ~伊達さんだぁ~!
俺は応援してるぜ!
同意が前提の規制には賛成だ。」
「あ、ありがとうございます!
私、頑張ります。」
演説から二日後。
少しずつ、少しずつ私の話を聞いてくれる人が増えている。
まどかも美空ちゃんも赤松くんも変わらず協力してくれる。
更に…。
「ねっ、保守的な特進クラスの方が伊達ちゃんの受けがいいでしょ?」
「はい、ホントですね。
松永先輩のアドバイス通りにしてたら何でも順調です!
全然面識の無い私をこんなに応援してくれて…。」
二年生の松永和美先輩は、あの演説から凄く積極的に協力してくれてます。
どうしてこんなに親切にしてくれるのか理由を聞いても…。
「別に。柳生恵里菜がこのまま勝ったら面白くないだけよ♪」
と繰り返すばかりです。
柳生先輩と過去に何があったかわかりませんが、私はベストを尽くすだけです。
そして…。
****
翌日
「得票結果を発表します。
二年三組柳生恵里菜さん得票率71パーセント。
一年一組伊達さやかさん得票率29パーセント。
よって、柳生恵里菜さんが北条学園次期生徒会長に選ばれました!」
『やったー恵里菜!』
「優矢くん、みんなありがとう!」
二年生のほとんどが柳生先輩を祝福し、一年生の一部と三年生の一部が落胆の声を上げます。
「さやか、良く頑張ったよ…。」
「ホンマやなぁ、立候補したばかりの四面楚歌な状況考えたら、こんな暖かい終戦迎えれるなんて思うてなかったわ。」
「まどか、美空ちゃん、ありがとう!」
「引き続き、就任式を始めます。
柳生恵里菜さん壇上へ。」
生徒会長の腕章が臨時代行の内藤副会長から渡されます。
私にはまだ来年がありますから…。
今はもう、柳生先輩のサポートをしたい気持ちでいっぱいです。
それにしても、本来なら真田先輩から腕章を譲り受けるはずが、先輩は姿を現してません。
その時…。
「みんな、三日間『有給休暇』ありがとう!
柳生恵里菜さん当選おめでとう。
伊達さやかさん健闘お疲れ様でした。
では、お祝いの曲を今、大人気のバンド『グリーン・ライフ』に歌って頂きます!」
突然校内放送から聞こえた真田先輩の声。
それにグリーンライフって…。
「ヴォーカルのレヴィンこと宇都宮真樹です。
真田先輩がウチのメンバーにゲリラライブの交渉してくれたんです。
さぁ、みんなの耳で軽音部とは別物の私達のサウンドを聞いて!」