「もしもし、まどかの方?あんなぁ、ちょい大事なこと聞きたいねんけど…。」
「ごめん、美空ちゃん。
今、さやかが大変でさ…。」
「そのさやかのことで、まどかに電話したんや!
駅で泣きながら走るさやかを見たって、赤松くんから連絡あってんけど、何か知らへんか?」
「美空ちゃんが赤松くんと連絡取り合ってたのは明日先輩方に提訴するとして、さやかは帰ってくるなり、自室で号泣と独り言のオンパレードみたいよ。」
「やっぱりかぁ~。
ほしたら考えられる原因は…。」
「うん、柿崎先輩にフラれたとしか考えられない。」
「せやなぁ~。さやかが泣く理由ってそれしか無いわなぁ。
でも、さやかがこの忙しいタイミングで告白っておかしない?」
「うん…。時期に限らず、今のさやかじゃ告白はまだ無理と思う。
多分、ショック受けてるのは…。」
「脈ないんに気付いたんかな?」
「それはない。
私だったら病院まで付いていって、応急手当までしたお礼がお子ちゃま防犯ブザーだった時点で諦めるわ。」
「いや、その前に二人きりで勉強して手ぇ出してくれへん時点で…。」
「う~ん、だとすると他に好きな人が居るの知っちゃたとか?」
「それや!
自分以上にフラグある女性を知ってもうたんや!」
「うわぁ、それならあり得る。
今きっと、相手女性への仕返しをシュミレーションしてるんだわ!」
「ええ?
さやかって、内藤先輩とおんなじ属性なん?」
「あぁ、大丈夫よ!
さやかはネガティブモードになっても、生まれつきのドジッ娘属性が邪魔するの。
保育園の時、私が『白雪姫』やることになって、さやかは凄い私を恨んでさ、」
「まどか、何かやられたん?」
「うん、さやかが仕方なく魔法使いのおばあさん役やったんだけど、小道具の紙製毒リンゴに乾いてない赤絵の具をたっぷり染み込ませるイタズラしたのよ!」
「え?保育園で何なん?その行動力!」
「でもね、さやかったら自分のセリフで『お嬢さん、毒なんて入ってないよ。ほら、おばあさんと半分こしよう』ってパカッと割れる小道具のリンゴを自分で割って、絵の具がついた方を自分でかじったのよ!」
「キャハハー、さやからしいなぁ~!」
「とにかく明日、何かしでかすかもしれないけど私がちょっと細工してたら、自然にドジッ娘モードが発動してくれるはずよ。
教えてくれてありがとう、美空ちゃん。」
「姉妹って、ええなぁ、ウチ一人っ子…。」