「え~、二人でトリプルカウンターアタックを練習してたの~?」
柳生先輩と相良先輩、そして柿崎先輩との4人での帰り道…。そりゃ、二人きりが理想だけど、贅沢は言えないわ。
それに相良先輩との熱い友情っていいかも。
姉のまどかが男の友情物語が大好きなのも少しわかるかも。
まぁ、まどかみたいにBLの世界までは理解出来ないけど…。
「でも、柿崎も薄情なんだぜ、この前の試合で影響受けたのが真田先輩でも榎田先輩でもなく、相手校の尼子さんなんだからな~。」
柿崎先輩はじっとしてられない衝動にかられたと思います。
「同じキーパーとしてあのパフォーマンスに何にも感じないわけないさ、なぁ、さやかちゃん?
さやかちゃんは誰が凄かったと思う?」
「私は柿崎先輩…と同じで尼子さんはホントに難攻不落だったなと…。」
危ない!『柿崎先輩が凄いです。』って言いそうになっちゃった。
「柿崎、ここだっけ?」
「あぁ、そうだ。」
ここは柿崎先輩と一緒に食べたクレープ店。
相良先輩も柳生先輩と食べたかったんですね。
「さやかちゃん、好きなの選べよ。」
「いいんですか?相良先輩。」
相良先輩は店を教えてくれたお礼として奢ってくれました。
「相良先輩は柳生先輩が当選しても、生徒会に入らないんですか?」
「俺は成績わるいからな。サッカー部で頑張るさ。」
「じゃあ、私が当選したら柿崎先輩は生徒会に入ってくれますか?」
言えた。これなら自然な流れよ。
「ごめん、俺も頭悪いから。」
うん、想定内の答えでしたがちょっと寂しいです。
「おい、柿崎。」
「わかってる、今日はそれを伝えたくて待ってたんだ。」
いつになく真剣な柿崎先輩。
「二人とも、もし良かったら、『当選した方が敗退した方を副会長か書記に向かえる』ってのはどうだ?」
それは柿崎先輩からのとても大人な提案でした。
「談合と言われるかもしれないが、意見のぶつかりよりも、歩みよりも大事と思うんだ。」
「柿崎くん凄い!うん、それなら負けた方に投票した生徒も報われるし、私が会長でさやかちゃんが副会長なら最強よ!
てか、そんなアイデアマンの柿崎くんにも書記か会計やってほしいな!」
「ホントに?柳生さんの誘いなら断りたくないかな?」
柿崎先輩は笑顔でした。
「ちょっと、私のはすぐ断ったのに…。」
あっ、そっか…。
私…バカだ…。
こんな簡単な事が今頃わかるなんて…。