「これが保護者向け資料で、生徒用がこれ。
各クラスの選挙管理委員が投票に関してはやってくれますから、なるべく現生徒会は振れる仕事は振りましょう。」
「ホントにありがとう。
助かるわ、赤松くん。」
「あんたにパシりの才能があると思わなかったよ!」
赤松くんは三好先生の言い付けとおり、生徒会の手伝いをしてくれています。
精力的に仕事をするのはやっぱり…。
「じっとしていたくないんだ。
嫌な事思い出すから…。」
行き過ぎた暴力で柿崎先輩が負傷する原因を作り、学校をサボっても不良になれないことを片倉先輩に諭され、試合ではかつて自己中プレーを捨て献身的に守備でも頑張ってましたが…。
徳川実業との試合は赤松くんの…。
「ねぇ、あれは安国寺くんの得点であんたのオウンゴールじゃなかったんだから…。」
「わかってるよ!ただ…もう少しだけ…。」
「さやかちゃん、わかってあげて。
赤松くんは一年生だからまだ他の男子より立ち直り早い方よ。」
私達の中心になって働いてる現副会長の内藤先輩が優しく言葉をかけてくれます。
「京子先輩、それじゃ真田先輩はまだ…。」
武田主将も片倉先輩も榎田先輩も、すっかり気の抜けた感じで何もかも上の空だそうです。
そして真田先輩まで…。
「あ~あ、まー君が声かけてくれたら、生徒会をボランティアで手伝おうって女がわんさか沸いて出てくるのに、肝心な時に使えないんだから!
逆に敗退して落ち込んでるまー君を慰めようとどいつもこいつも!」
怖っ!内藤先輩の嫉妬深さは先輩方から聞いてましたけど…。凄い…。
「でも羨ましいな…。京子先輩と真田先輩は深く愛し合えてるから嫉妬したりされたり…。」
いいな私だって柿崎先輩を独り占めしたいな…。クラスどころか、学年が違うと何にもわからないや…。
「そんなことないよ、さやかちゃん。
部活と生徒会のどっちも引退したら、『ただのクラスメート』には時間が増えてチャンスだから私、安心出来なくて…。」
でも気持ち嬉しそうに話してるような…。
「ごめんなさい、遅れて!」
勢いよく生徒会室のドアを開けたのは対立候補の柳生先輩。
「遅いよ!どしたの?」
「もう、急いでるのに優矢くんが放してくれなくて…。
『俺の責任だ』って落ち込んでるから、『良く頑張ったよ』ってキスしてたら私も離れたくなくなって…。」
「つ、包み隠さずありがと…ね…。」
私…負けないもん!