「竜!僕は君と同じチームでプレー出来ると思ったのに!」
一年生で徳川実業の10番を背負った安国寺くんは間違いなく規格外のファンタジスタでした。
同じ小柄なミッドフィルダーでも、スピードとドリブルが売り物の優矢くんと違って、中盤の底から縦パス一本で決定的なチャンスを作るレジスタタイプです。
中村憲剛選手やピルロ選手に似ています。
また、自分から点を取りに行かない時の高坂先輩に似ています。
「安国寺、俺は同時代最高キーパーの尼子先輩から点を取りたくて北条学園に来たんだ。
お前とはプロや代表でこれからまた組める!」
「僕は今、竜と同じ高校が良かったのに!」
「おい、赤松。この一年生ゲ●かよ?」
「やっは男子校って薔●族か?」
「俺は絶対ノーマルですよ先輩!
安国寺はちょっとメンタルがヤバくて…。」
「共学なんかに行った君を許さない!」
「赤松、『いつまでも、あると思うな、過去のモテ期とロスタイム』だ。」
「武田主将、上手いこと言ってないで早くパス下さい!
ちくしょう、どうだ!」
安国寺くんを振り切った武田主将からのパスを受けた赤松くんのシュート!
武田主将は赤松くんの加入でパスやドリブル、守備も精力的にこなすようになっていました。
しかし、赤松くんのシュートは徳川実業の守護神尼子さんに阻まれました。
しかもパンチングやディフレクティングじゃなく、ガッチリと両手でキャッチされました。
これが…大会No.1キーパー。高校生にしてオリンピック世代の代表合宿に参加した経験がある選手です。
「失望したぞ、赤松。
この程度か?
共学の公立に負けるかー!
何回全国に行っても俺に彼女は居ないんだよー!」
個人的恨み?満々の徳川実業のカウンター攻撃。
前線にはポーランドからの留学生イバチェビッチさんが構えてましたが、
「ミートが中途半端だな!」
こっちにも巨人・榎田徹先輩が鉄壁のディフェンスを披露します。
真田先輩に榎田先輩が居たように、同県・同学年に尼子さんが居たことが榎田先輩の不運だったと思います。
でも…みんな負けていません!優矢くんも片倉先輩もいつも以上のパフォーマンスで王者徳川実業に食らい付いてます。
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ハーフタイム
「0-0で喜んじゃ駄目だけど…真田、高坂ちゃん何か策は?」
「相手にも焦りはあり、ファウルが増えてる。
このままでいい。奇策を無理に用いる必要は無い…。」
続