片倉士郎の悪漢のススメ~がばめんと!17 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

「勢いに任せてサボったものの…ゲームは連敗、タバコは吸い方がわからない。
どう?堕ちるのも楽じゃないだろう?」

「別に俺は…。
ゴホッ、ゲフッ!」

「いきなり肺に入れるから…。
まぁ、初心者は殆どそうなるから気にすることないよ…。
それより付いてきなよ!
暇つぶしの仕方がわからないんだろう?」

「何ですか?
こんな空き地に?」

「きっと瑞穂や真田くんの今までのやり方なら…面白可笑しいお色気いっぱいの『賭けサッカー』で赤松くんの自覚を促すんだろうけど…。おそらくそれは逆効果だね。
君は今、サッカーから離れることで、サッカーを知る必要があるね…。」

「で、こんな所で何をするつもりですか?」

「僕は赤松くんを殴ったからね…。
君は『仕返し』をする権利がある。
どう?僕を殴れる?」

「…挑発には乗りませんよ!
そんなことで俺に何のメリットが…。」

「メリット?
そうだね、赤松くんが僕に殴られる可能性を回避出来るかもね。」

「脅迫じゃないですか!?
やらなきゃやられるってことですか?」

「そのとおり。僕はいつ攻撃を仕掛けるかわからないよ…。」

「そんな…ケガしても知りませんよ!」

「やる気になったね!いいよ…。」

****

「あ、当たらない…。」

「これがフットワークだよ。アウトボクサーの真骨頂さ。
ボクシングは決して『殴りあい』じゃない。
『殴られない』為の神聖なる『スポーツ』だからね。」

「そんなボクシングが大事なら、片倉先輩は何で不良になって、何でサッカーを始めたんですか?
ボクシングは?」

「一発僕に入れられたら答えてもいいよ。
『漢同士は拳で語り合う』って言うけど、弱き者しか殴れない君はまず『漢』になる必要がある。」

「ハァハァ、片倉先輩のフォワードとしての視界から消える動きは、このボクシングのステップが基本になってるんですか?」

「今わかった?そうだよ。ボールとゴールだけを見るばかりじゃない。
敵と味方の動きを観察するのもフォワードの役目と思うんだ。」

「…それが言いたいが為に?」

「赤松くん、サッカーは嫌いじゃないだろう?」

「わからない。サッカー無しの自分なんて考えられないから…。」

「柿崎くんに申し訳無いと思ってるのに言い出せないだけだろう?」

「だってあの時、あんなに血が出て…。ホントは謝りたいのに…。」

「君にこの世界はまだ早い。
帰れる場所がある。」