刺傷事件から3日後の朝
「おはようございます!
軽音学部です!
軽音部の廃部撤回に署名お願いします!」
たった一人の行き過ぎた行動の為に廃部の危機の軽音部。
部員達はみんな存続の為に必死だった。
「真樹ちゃん、頑張ってね!」
「宇都宮さん、応援してるよ!」
学園のアイドルが校門前に立っているだけで、朝から華やかな雰囲気になる。
事情をよく知らない者や、宇都宮先輩に興味なかった者まで改めて惹き付けたようだ。
「おはようございます!
私も署名させて下さい。」
別に他の子の所で書いても良かったが、やはり私は宇都宮先輩に直接伝えたかった。
「おはよう、さやかちゃん…。
あのね、私はね、その…。」
後輩の私に対して上手く言葉が出ない宇都宮先輩。
やっぱり昨日のことを気にしてるのかな…?
「宇都宮先輩。
私は何もかもに反対してるんじゃ、ありません。
柳生先輩の選挙活動の仕方に納得出来ないだけで、署名活動は間違ってないと思います。
はい、頑張って下さい!
私も頑張りますから…。」
きっと私は嫌な女の子だろう。
柳生先輩みたく優しくも、宇都宮先輩の様に可愛くもない…。
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三年生の教室
「士郎は休みか…。赤松のことを案じ過ぎているのだな、きっと…。」
「瑞穂~。何で片倉くん休みなの~?
昨日、勝手に勝手に帰ったこと電話して聞いたの?」
「い、いや昨夜は士郎からかかってこなかった…。
休みの理由は知らない…。」
「えっ、瑞穂何をしてるの?
片倉くんが悩んでる時に何で自分から電話しないの?」
「な、中島、無茶を言うな!
私の方から士郎の家に電話なんぞ出来るわけないだろう!
も、もし親や兄弟が出たら…。」
※作者注 テッペキ!の世界に携帯電話とインターネットは存在しません。
「うわぁ、瑞穂ってサッカーと違って恋愛はホントに奥手ね!
まぁ、付き合いの長いあたしから見たらそのギャップがカワイイんだけど…。」
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「ちくしょう!
キャッチ出来ただろ!
何でパンチングなんだ!クソゲーだな!」
「学校を休んでゲーセンに来ても、サッカーゲームをするんだね…♪」
「片倉先輩!
何でここに?」
「…狭い町だからね…。
『不良』が行きそうな場所は見当がつくよ。」
「先輩こそ、休んでまで俺に何の用ですか?
全く…ここのサッカー部は…アレ、何だ?火が?」
「タバコは口で吸わないと火は付かないよ!」