私達は去り行く赤松くんと片倉先輩を見てるしかなかった。
目の前で「辞めてやる」
「サッカーなんて大嫌い」
と言われ、誰もが茫然自失としていた。
そこに遅れてやって来た、生徒会選挙の準備をしてた真田先輩、柳生先輩、里見先輩と内藤先輩。
「みんな~、私のポスターの原画が出来上がったよ~って…。
何かあったの?」
いつも明るいムードメーカーな柳生先輩が、静まり返った雰囲気に戸惑う。
「…真田、悪いまたお前が居ない時に…。
赤松を復帰させる最大のチャンスを俺達は…。」
榎田先輩が辛い表情で話す。
「真田、士郎を責めないでくれ…。
無理矢理連れて来た私が…。」
「気にするな、高坂、
その場に居たら俺も三好先生も同じことをしたさ…。
真田家の家訓『助かりたがらない奴を助けるな』だ。
片倉にはきっと赤松を連れ戻す策があって、自分も消えたはず…と信じたいな。」
「真田、高坂ちゃん。
二人が戻ってきたら、根性叩き直してやるさ!
週末の試合はキャプテンにてエースストライカーのこの武田輝に任せな!」
『だから心配なんだよ!』
きっと一番傷ついてるのは武田主将かもしれません。
柿崎先輩のケガに二人の(一時)離脱。
チームとしてのバランスを優先するにしても…。
「それよりみんな!再来週の投票はどうか私に清き一票を!
全体集会の演説でも軽音部の廃部撤回を訴えるし、校長のリコールだってしてやるわ!」
「柳生ちゃん、俺達は応援するぜ!
宇都宮ちゃんの大事な軽音部を俺達で守ろうぜ!」
「み、みなさん、ありがとうございます。
私も明日の朝から軽音部総出で廃部撤回の署名活動するわ。
恵里菜だけに負担させないわ。」
何かが大きな力が大きな流れに傾いている。
それが正しいのかもしれない。
誰もが望んでることかもしれない。
でも…。
「…そんなに宇都宮先輩も柳生先輩も、軽音部が柿崎先輩の右腕よりも、赤松くんの気持ちよりも大事何ですか?」
私はみんなの前で遂に言った。
「…さやかちゃん?」
「みんな何か間違ってませんか?
高校生の本分は勉強だと私は思います。
生徒会と生徒会選挙をそんなことに使う柳生先輩を支持出来ません!」
「さやかちゃん、確かにね…。いろんな考えが…。」
内藤先輩はおっとりと、私に諭すように話しかけますが…。
「真田先輩、締め切りは明日ですよね。
私も生徒会長に立候補します。
選挙で決めましょう」