がばめんと!9~テッペキ!シーズン8 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

「おい、柿崎!大丈夫かよ?」

「オィ~ス、相良。
一人か?」

「一人か?じゃねえーよ!
右腕包帯ぐるぐる巻きなのに普通に振る舞うなよ!」

「別に。
普通だよ。で、柳生ちゃんは?」

「朝は別々だよ。
それがどうした?」

「いや、ただの挨拶だよ。
いつもお前ら一緒だからな。
この手のおかげで支度に時間がかかったから、いつも見かけないお前を見たわけさ。」

「で、怪我の具合は?」

「皮膚の上っ面切っただけで怪我に入らんさ。
中学の時にはもっと…。
まぁ大会はオジャンだが、背番号さえもらってない俺にはあまり変わらないさ…。」

「そうか…。」

柿崎にかける言葉が見つからなかった。
怪我に関係なく、ベンチに入れない選手は柿崎だけじゃない。
俺だって、同学年の小菅が10番を貰った時は悔しかったさ。
もしも来年の今、柿崎が最後の夏で、レギュラーとしてこの怪我をしていたら…。
悔しさは比べモノにならないだろう。
そして、スポーツ選手として自分が控えなら、レギュラーの怪我をチャンスと思う気持ちも要求される…。

柿崎は言葉に出さないが、例え超える目標が榎田先輩、真田先輩という双璧を成す絶対的な守護神であれ、自分が割って入りたい気持ちが必ずあったはずだ。
俺ならそう思う。
その時点で諦めた奴は退部した方がいい。

「相良…。」

「何だ?」

「頑張れよ。」

「どうした?急に。」

「お前は二年の星だから…。
三年からレギュラーを奪えなかった二年の期待、怪我した俺の期待、ドイツへ行った小菅の期待、お前に背負わせてやるよ(笑)。」

「やめろよ、ただでさえ俺、小さいのに、また縮むだろ(笑)。」

「益々、柳生ちゃんを見上げろよ(笑)。」

「部活には顔出せよ。
伊達…じゃない、さやかちゃんが心配するからな!」

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生徒指導室

「そんな!
横暴です!
今回のことは軽音部と関係ありません!私個人が混乱を招いて…」

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ロッカールームで泣きながら私に事情を話す真樹ちゃん。

「『グリーンライフ』は他校の生徒や社会人、大学生と結成したバンドなのに…。
刺傷事件が起きたからって、軽音部が解散なんて、意味わからないよ…。」

私、柳生恵里菜に「怒り」という感情があるのを認識したのは、この日の為かもしれません。

「大丈夫よ、真樹ちゃん。
真樹ちゃんと軽音部は私が絶対に守るから…。
生徒会選挙の公約が決まったわ。」