「変質者!?」
部活が始まる前に、男女ともに集められて、三好先生が私達に話ます。
「ええ、みんなホームルームでもある程度聞いたと思うけど、昨日、北条中学の女子が狙われたわ!
幸い、未遂で終わってるけど、近隣の学校が狙われてるのは由々しき事態だわ。」
男女ともにざわめき出し、口々に聞きかじりの噂が飛び交う。
「武田!自首しろ!(笑)」
「ばかやろう!中学生は圏外だ!」
「じゃあ、ウチの学校ならやりかねないわけ!そこんとこ、説明してもらいましょか?ダーリン!」
中島主将の怒りに触れたみたいです。
こんな楽しい先輩方も、もう後少しで引退だなんて…。
「はい、中島さんの言うとおり、ウチの学校で起きないとも限らないわ!
そこでみんなに協力をお願い。
男子は今日、校外でのフィジカルトレーニングにするわ。
女子は南部さん以外はグランドで通常練習。高坂さん、中島さんの指示に従うこと。時間が来たら解散して、なるべく一人で帰らないこと!」
南部さんだけ別に呼ばれたということはやはり…。
「先生、自分は…?」
「南部さんは男子とフィジカルトレーニングの練習で、学校から最寄り駅までの通学路を警戒してもらいたいの。
お願いできるかしら?」
「勿論です!婦女子に手を出す不埒な輩は私が成敗します!」
「頼もしいわね♪
どうしても、もう一人腕自慢が欲しくて。」
確かに普通の男子より、南部さんや三好先生の方が遥かに用心棒として頼りになる気がします。
男子代表だとやはり…。
「真理亜、俺達に任せな!なぁ片倉?」
榎田先輩は191センチの筋骨隆々の体格で、片倉先輩はボクシング経験者。
一年生の時はとんでもない不良コンビだったそうですが、今はそれぞれ三好先生と高坂先輩の彼氏なんだから人生って不思議です。
「…お役に立てるなら嬉しいです…。
でもみんな、捕まえることが目的じゃないよ、犯行をさせないことだよ。」
「片倉くんの言うとおりよ。
学校から最寄り駅までを四等分して私達四人が常駐するわ。
男子部員は四人一組で学校から駅までを警戒しながらのマラソンと筋トレをし続けること!
異変に気付いたら近くの私達に知らせること!
いいわね!」
「嫌だ!!
士郎を一人で行かさない。
私は士郎の傍に居る!
士郎!絶対ケガをするなよ!
バンドエイドは持ってるか?
お前にもしものことがあったら…。」
「瑞穂って、意外と尽くすタイプね…」