ヨセフのエジプト物語2~旧約聖書を我流に訳す11 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

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このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

(創世記41章)

いらぬ嫉妬を買い、遥かエジプトの宮殿の牢に投獄されたヨセフ。
だが彼は諦めてはいなかった。
じっとチャンスを待っていた。
望みはある。
つい最近まで隣の牢に入ってた少年が釈放された。
僕達は同じ牢獄生活で打ち解け、ある事を誓いあった。

「先に釈放された方が残った者を弁護する。」

僕よりも彼の方が早く釈放され、彼は約束を守り、今では僕の食事係と監視役をしながら外の情報を教えてくれている。
「今日は宮廷で何かあるの?」

「あぁ、ファラオが国中の占い師達を呼び寄せたんだ。」

「占い師を?」

「そうなんだ。
ファラオは最近悪夢にうなされている。
そこで一流の占い師にその意味を解いてもらうつもりさ。」
王の間

「よく肥えた7頭の雌牛が草を食べていた。
そのあと痩せた雌牛7頭がやってきて、肥えた雌牛を食いつくしたのだ!

あぁ、口にするだけで恐ろしい。
だれか、余の夢を解ける者はおらぬのか?」

集められた占い師達は誰も申し出ない。
そこにあの少年が名乗り出た。

「牢獄に夢解きの能力を持つユダヤ人がいます!」

「ユダヤ人?
よし、その者を連れてまいれ。」

槍を構える衛兵に脇を固められながらファラオに謁見するヨセフ。

「さあ、ユダヤの青年よ。
余の夢を解くだ。」

ヨセフの目が輝き、臆せず語り出した。

「7頭な牛は7年の意味です。
これより7年エジプトに大豊作が訪れるでしょう。
しかし、そのあとに7頭の痩せた雌牛がやってくる。
大豊作を忘れさせるほどの大飢饉です。」

占い師だけでなく、周りの兵やファラオの親族、侍従長のポティファルまでざわつき始める。

「ファラオよ!
直ちに賢き者を大臣に指名するのです。
豊作の7年のうちに食料を蓄えるのです。
さもなくば国は滅びます。」

「あいわかった、ではこうしよう。
ユダヤ人よ、お前が大臣になれ。」

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はい、古今東西「夢」はとても不思議なものだったのでしょうね。
大軍に守られた王様も、夢をコントロールすることは出来ません。
自分の悪夢から守ってくれる他人など、今日に至るまで存在しないのです。
三国志の曹操が草を食べる馬の夢を見たからと、「馬」一族を攻撃したのは有名ですね。
私の家にも夢辞典が二冊ほどありますが、人間の何か能力の及ばない物があるっていいことだと思います。
「死」と「出会い」「他者の意志」そして「夢」も。