駅前のケーキ屋さん
「う~ん、美味しい♪
試験期間中は練習を忘れて、好きな物食べられるのが救いね。」
「島ちゃん、食べてばかりじゃなくて、作戦のおさらいよ!」
「わかってるわよ、主将。
基本、頭のいい連中を柿崎くんに近づけないこと!
これに尽きるわ。
特に同学年の柳生ちゃん。わかってるわね?」
「私が柿崎くんに勉強を教えたら駄目なんですよね…。
確かに試験明けは生徒会選挙もあるし、元々優矢くんに勉強教えるのに精一杯だから、柿崎くんまで手が回らないと思いますけど…。
でも、そもそも何でですか?」
「ガタン!」
島先輩、中島主将、山名先輩が倒れました。
私はわからないから聞いただけですけど…?
「あのね柳生ちゃん、今までの流れでわからない?」
「はい!」
ホントにわからないです。
先輩方に大谷さんと一緒にケーキ屋さんで奢ってもらって、柿崎くんに勉強教えるなと言われても…。
「柳生先輩、手短に言うたら、伊達ちゃんの恋をみんなで応援する為に、二人きりで勉強の時間と場所見つけてあげて、ウチらは邪魔せんとこうってことですわ。」
大谷さんから説明を受けてやっとわかった私。
愛ちゃんや真樹ちゃんはストレートに表現してくれるけど、伊達ちゃんって普段何考えてるかわからないから…。
「美空ちゃんは、なるべく伊達ちゃんに近づく子を追い払ってね。」
「わかってますぅ。ホンマはウチも伊達ちゃんに勉強教えてほしいけど、柿崎先輩と上手くいってほしいから独力で頑張りますわ。」
「三年の私達は真田くんと京子ちゃんを抑えるからね。」
「部室で勉強するのは私達の慣習ですから、それを逆手にとって二人きりにしましょうね~。
生徒会室と、三好先生の居る生物準備室に分散するのが得策です~。」
「さすが理恵。
それなら自然ね。
とにかく、あの頭はいいのに運動音痴で『伊達荷物』なんて他の一年に言われてた伊達ちゃんが一歩踏み出したのよ!
成否に関係無く、二人が正面から向き合う環境を作るのがあたし達の使命よ!
いいね、島ちゃん、柳生ちゃん、理恵、美空ちゃん!」
「あの~、先輩方…一年の私がつまらん質問なんですけど、肝心の柿崎先輩の気持ちが違うたら…?」
「えっ?相手の気持ちなんて後からどうとでもなるじゃない!
大事なのは一番女らしい自分を表現できる、シュチュエーションとタイミングよ!」
さすが私が尊敬する島先輩です。私も賛成です。