たなく!2~旧約聖書を我流に訳す | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

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このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
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カインとアベル(創世記4章)

楽園を追放されたアダムとイヴは恥ずかしさと痛みに耐えながら長男カインを産み、続いて次男アベルを産みました。

カインは大地を耕し野菜を作り、アベルは羊を飼いました。

ある日二人は、ヤハウェに収穫物を捧げました。
ヤハウェは露骨に自分の好みを示しました。
長男カインが作った野菜には目もくれず、次男アベルが育てた子羊ばかりを好みました。

誇りを傷つけられたことと、嫉妬に狂ったカインは弟・アベルの殺害を計画する。

アベルは兄・カインに言いました。

「ヤハウェは兄さんのことも愛してるよ」

その言葉が余計にカインを傷つけたのかは定かではありませんが、アベルの言葉に反応もせず、鎌をアベルの喉に当て、刃を一気に引く!

育てた羊が見守るなか、アベルは大量の血を流し絶命した。
これぞ人類最初の殺人事件である。

事態を知ったヤハウェは当然の如く、怒りを露にカインに語りかける。

「お前は何てことをしたのだ。」

「ヤハウェよ、貴方は私を殺すのですね?」

カインには覚悟があったのかわかりません。
しかし、ヤハウェの選択は違いました。

「カインよ、お前は額に弟殺しの印をつけたまま、永遠に地上をさまようがよい。」

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はい、ブロ友さんのご意見ではこの話は「ユダヤの遊牧に対する農業へのコンプレックス」
の裏返しだそうです。
「定住」を前提する農業は「土地を持つ者」としての憧れがあったのかもしれませんね。
だからこそ遊牧をする自分達が育てた子羊「だけ」をヤハウェは愛したと記したのかもしれません。

また、遊牧は羊が食べる草を世話しません。農業はある程度農作業者の計画が問われますが、羊が食べる草は完全に天に任せています。

「アベルの血によって汚された大地に恵みはない」
とのヤハウェが残した言葉は、農業従事者によって遊牧民の収穫が阻害されるとも解釈できます。牧草や羊の成長不良を、農業に従事したカインに責任を押し付けてる様にも思えます。
「嫉妬深い神」「契約の宗教」としてのユダヤ教の側面はこんな所にも見られますね。

余談ですが肉を食べる行為は、その肉が育つまでに食べた餌や、精肉にされるまでに使用される水を計算すると野菜を食べるより高コストだそうですね。