「凄いよ伊達ちゃん!
ナイスセーブだよ!」
「柿崎先輩の指導のおかげです。
あのう…。」
「?どうした?」
「雄叫びって、あれで良かったでしょうか?」
「やれやれ、私もうかうかしてられないかもね。」
「結城先輩、そんな私なんてまだまだ…。」
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「3-3で引き分けになっちゃったね…。
どうしようっか?」
「あれほど気持ち良く伊達ちゃんに防がれたら諦めるしかないです。
途中から告白だろうが罰ゲームだろうがどうでも良くなったです。」
「愛ちゃんも?
実は私も(笑)。
引き分けで良かったかな?」
「でも内容は私の完敗です。
真樹ちゃんはチップキックに、左足のシュート。
アイデアに溢れてたです。」
「…里見が負けを認めるなら、私からの罰ゲームだ…。
伊達!今度はお前が蹴って、キッカーの心理を知れ!
里見がキーパーをしてくれるぞ。
おい、痩せ絵描き!
チャンスだぞ!
ゴールマウスに立つ里見を正面から描いてみろ…。」
相変わらずの高坂先輩の強引さです。
初対面の西九条くんに簡単に命令してるです。
しかし、今回の高坂先輩は私達に一切口出ししなかったです。
いえ、そもそも都合良く西九条くんがグランドに来たり、渦中の私と真樹ちゃんをPKキッカーに指名したり…。
「ま、まさか真樹ちゃん…昨日のことを誰かに…?」
「うん、同じこと考えてた。
私、一人だけしか喋ってないよ。」
「私も一人しか事情は話してないです。」
「じゃあ…。」
『恵里菜ー!』
「ごめんなさい、私には内容が重かったから島先輩に話したらあっという間に…。」
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「先輩方もみんなも、ここからは西九条くんからの愛ちゃんへの告白タイムだから邪魔は駄目です♪」
「真樹ちゃん、何で西九条くんからですかー?」
「私達の引き分けの結果にふさわしくない?
それにこんな綺麗なラフスケッチしといて、もう言い訳出来ないわよ。
あっ、ラフを裸婦って思った人はグランド10周ですよ~(笑)」
「男子部員は片倉先輩しか残ってないですー!
島先輩と南部先輩も正直に走らなくていいです!」
「実は私も…。」
「三好先生は教師の自覚を持って自重して下さいですー!」****
「里見さん、次は俺の水彩画のモデルになってほしい!」
「わざわざお願いする必要ないです。
…私は…西九条くんが描きたい時に描ける距離にいつも居たいと思ってるです…。」
次回最終回