真樹ちゃんの配慮?で野次馬達がグランドを走ってくれてるおかげで、落ち着いて西九条くんの言葉を聞くことが出来たです。
「絵が完成すると…また邪険に扱われてしまうのが怖いです。
だから返事をするのも怖いです!」
「絵を描いてる君だけが好きで、サッカーをしてる君が嫌いなんて、俺の思い上がりだって良くわかったよ。
今日、君をスケッチしてわかった。
サッカーをしている里見さんは間違いなくアーティストだった。」
「私もアーティストのつもりだったんですけど~(笑)?
あ~ん、私って愛ちゃんに近付く為に、愛ちゃんを嫉妬させる為に利用されて、何て可哀想なの~?」
私と西九条くんが話してる間、真樹ちゃんがキーパー役をして、伊達ちゃんの相手をしてくれてたです。
身体を動かしながらイタズラっぽく、チクチクと西九条くんを責めますが、恨みは無いようです。
「最初は美術部に活気を取り戻すためと、指摘の通り里見さんを怒らせて俺を意識させる為に宇都宮さんをモデルに指名した。
でも唯一の誤算は…。」
「私が西九条くんに本気になったこと…。」
「俺は一人よがりな『けじめ』のつもりで宇都宮さんを遠ざけ、里見さんにも近付かないと決めたつもりだったが…。」
『恵里菜が広めた』
「だから高坂先輩は私達を指名して、京子先輩は西九条くんを連れて来たのね~。」
「でも良い勝負が出来たです。」
「うん、あのまま三人全員がわだかまり残してたかもしれないんだよね…。」
「ねぇ、西九条くん、愛ちゃん。
お願い…。」
「大丈夫、ライヴには二人で絶対に行くよ!
そのかわり…なっ?」
「はい、西九条くんの出会いの場所に真樹ちゃんも連れて行きたいです」
「ライヴが終わっても…私は貴方達の応援ソング歌い続けるわ。」
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「今日は、最近急接近しだした私の二人の親友の為に歌います!
聞いて下さい!
♪無限のこの宇宙で 出逢う奇跡の様な…
大切なぬくもりが今 この腕を離れてゆく
揺れる陽射しに照らされ 歩いてた道
切なさに満ちた心 そっと包んでくれた
愛の言葉が足りないかわりに 歌えば
それだけで 2人ひとつになれた気がしていた
I remember those days おやすみ 愛しい貴方よ♪」
GLAY Together より抜粋
気持ちは通じ合ったのに、未だに付き合おうという発想が湧かない二人に対して、宇都宮真樹の子守は続きます。完