「まー君、瑞穂、柳生ちゃん。ごめんね遅くなって~。」
『西九条くん!!』
な、何で…グランドに…?
「お、おい、6組の西九条ホントにきたぜ。
じゃあ、宇都宮さんから下校に誘ったって噂ホントかよ?」
「な、何故あんな男がモテて俺には彼女居ないんだー!」
「内藤先輩の許可を頂きました。
ラフにスケッチさせていただきます。」
「凄い、里見さんの絵ばっかり…。」
「伊達ちゃん、外野は気にするな。
俺達のプレーをすれば大丈夫だ!」
「ピッチの外は外野って言うんですか?」
指導に熱が入り、柿崎くんは遂に「俺達」と言ったです。
やはり男子はこれくらい情熱的で紳士的な態度でないと…。
京子先輩が連れて来た男とは大違いです!
いや、それよりも…。
「やった、やりました先輩!
私、また止めましたー!」
あぁ、自信というのは人間の能力に多大な影響を与えるようです。
私のミスキックを防いだことで、伊達ちゃんは構えから雰囲気が変わっていたです。
「ウソ…何で…。」
真樹ちゃんのミスキックでは無いです。
突然現れた西九条くんの姿にも動揺してなかったです。
強いて言うなら…軸足です。
真樹ちゃんは右足で自分の右手方向に蹴る為に、中央から助走し、蹴る直前に軸足の左つま先を右手方向にステップしたです。
それにより身体を巻き付けるようなトルネードシュートを撃ったですが、助走の勢いを殺したことに違いなかったです。
「一本目の感覚で跳んでみましたが、今回は勢いに負けませんでした!」
伊達ちゃんの言葉が的確に言い当ててるです。
真樹ちゃんに足りなかったのは勢い。
ならば…。
「里見、四本目、右下、行くです!」
「な、斜め?
愛ちゃん、そんなのあり?」
簡単な答えでした。
右足で右手方向に強く蹴りたいなら、最初からゴールに対して斜めに助走したら良いだけです。
必ずしも、ゴールラインに対して垂直に助走しなければならないルールは無いです!
「と、届いてー!
あ~、駄目…。」
やったです!斜めからの助走の勢いを活かして伊達ちゃんの防げないシュートを撃てたです!
「やるじゃない、西九条くんもその雄姿をしっかり描いてくれてるはずよ。
もう、二人の答えは出てるんだろうけど、私は私のベストを尽くすわ。」
「私もです。
ここで手加減することはサッカーへの冒涜です。
悔いの無い一本を蹴るです。」
宇都宮○×○×
里見 ○○×○