真樹ちゃんとはクラスが違うから気まずくなくて済むです…。
今日の部活は顔も合わさず避けてたでずが、二人して高坂先輩に指名されたら声をかけないわけにはいかないです。
私は真樹ちゃんの恋を応援すると決めたです。
ペナルティスポット前に集まり、ボールを用意した私達は、今日初めて視線を合わせ…。
『あ、あの…!』
何を同じタイミングで挨拶してるですかー!
これじゃお見合いのコントです!
とにかく祝福の言葉抜きにはPKどころではないです!
新たなカップル誕生をお祝いして…。
『お、お幸せにー!』
また被ったです!
何故、私が真樹ちゃんに祝福されないといけないですかー?
「真樹ちゃん、冗談は止めるです!
昨日西九条くんと一緒に下校したの知ってるです!
私に関係なく仲良くすればいいです!」
「私だって西九条くんの気持ちわかったんだからね!
私なんて『友情に変わりない』って言われたくらい圏外なの!
愛ちゃんはさっさと告白して付き合っちゃえばいいの!」
「何でそうなるですかー!
私は『友情を感じていない』とまで言われたです!」
「…そうなんだ…。
やっぱりね…。
西九条くんにとって私は友達でも、愛ちゃんは『友情の欠片もないくらい愛情たっぷり』って意味何だよ。
うん、これで告白決定ね。
早退して今からね。」
「恵里菜みたいなポジティブ過ぎること言うなです!
自分の気持ちを押し殺すなです!」
「貴女が言わないで!
貴女だけは言わないで!
こっちのセリフだわ!
丁度いいわ、愛ちゃん。
このPKで勝負よ!
私の方が多く伊達ちゃんからゴールを奪ったら即効で西九条くんに告白すること!
いいわね!」
「条件を提示するからには、対価を覚悟してるですね。
では私が勝てば、真樹ちゃんが西九条くんに告白するです!」
「な、何よそれ…。
私の方が脈ないのに…。」
例え西九条くんでも、相手からの押しがあればどうなるかわからないです。
…ここは退けない展開です。
「勝負はあらかじめコースを指定したPK 5本勝負。ゴールの四隅と中央の五ヶ所にそれぞれ蹴り分けること!
待たせてごめんね伊達ちゃん。
まずは私から左下に行きま~す。」
真樹ちゃんの右足から勢いよくボールは蹴られ、真樹ちゃんの左手方向に低く隅に…!
でも伊達ちゃんは反対側に跳んだです!
「だって先輩左って…。」
「敵キーパー側の目線で左右を言うわけがないですー!」