「小菅さん、カールスルーエへの入団契約おめでとうございます!
私、何にも出来ないけど、クラスのみんなに『お兄ちゃんの友達がドイツでプロサッカー選手になるんだよー!』って言ったら、たくさん寄せ書きしてくれて…。
ドイツでの活躍を期待しています!」
「おぉ~」
と歓声と共に拍手が起こる。
受け取った小菅は恥ずかしそうにしていた。
「麗美ちゃん、いい子だねぇ~。
相良には勿体無いくらいの妹だな。
ねぇ、麗美ちゃん、好きな食べ物ある?
僕が取り分けてあげるようか?」
「おい島津!いくら彼女いないからって、法律だけは守れよ(笑)。」
「失礼だな!俺は『妹』フェチだが、そっちの趣味はねぇよ!
クラスに好きな子は…。」
「ええ、それはいますよ。
でも、いいなって思う男子はみんな彼女居るんですよね(笑)。」
小菅の送別会に、無理矢理着いてきた妹の麗美は小学五年生ということもあり、みんなの注目を集めた。
「ごめん、恵里菜。
麗美の願いを断り切れなくて…。」
「小菅くんが喜んでくれてるなら何よりよ。
確かに二人きりでイチャイチャ出来ないのはちょっと残念かなぁ?」
「おい恵里菜、今日は小菅の送別会だぞ!」
「ごめん、ごめん。わかってるよ♪
でもね、私は優矢くんだけが好きなんだよ。
小菅くんの方が先にプロ契約したことで、優矢くんが落ち込んでるなら、柳生恵里菜はどんな手段を使ってでも貴方を元気にするわ!
小菅くんの抜けた男子部は…優矢くんにかかってるわ…。」
「恵里菜…ありがとう。
俺には恵里菜が居てくれる。
そのことだけは小菅に負てないと俺が誇れることだよ。」
見えない所で軽く頬にキスをした。
いい加減俺も性格悪いな(笑)。
そして妹の麗美と並んでもう一人のサプライズゲスト…。
「伊達ちゃんが二人ー!」
「ちょっと、榎田くん!飲み物にお酒入ってない?」
「大丈夫ですよ、先輩方。
いつも妹がお世話になっています。
私、伊達さやかの双子の姉の伊達まどかです。
中学の卒業式前に、突然の病気で入退院を繰り返してたんですけど…。
運動音痴な妹と違って私はサッカー経験者ですから安心して下さい!
ドクターから運動の許可が降りたら入部させて下さい!
プロ契約が決まった小菅先輩に会わずにお別れなんて絶対嫌と思って、着いてきました!」
「私は姉の闘病の辛さを少しでも分かりたくて…。せめて姉が復帰するまで辞めないぞ!って。」