相良優矢の場合
「お兄ちゃんばかりずるい!
私も連れてって!」
「別にずるくないだろ!
俺は高校生で、同じ高校生の小菅の送別会に参加するだけだ。
お兄ちゃんは別に麗美(れみ)のパーティーに参加したいなんて言ったことないだろ。」
妹の麗美の気持ちもわかる。
榎田先輩や一橋先輩が主催するパーティーのご馳走を食べたいと思うのは食べ盛りの小学5年生なら当然か…。
「小菅さんは恵里菜お姉ちゃんと同じくらい、私にとっても大切な人なの!
だから私も行く権利があるの!
お兄ちゃんが一年の一学期にはよく家にも来てくれたのに!
連れてってくれないなら、昔お兄ちゃんが和美さん(キョクメン突破!参照)にやったことを恵里菜お姉ちゃんに…。」
「わかった!連れてく、連れてくからー!」
全く!いくら幼なじみとはいえ、恵里菜に和美との昔話は地雷過ぎる!
あ~、麗美の奴、いつの間にそんな大人の知恵を…。五年生のクセに…。
「わ~い、お兄ちゃん大好き!
これで高校生の彼氏…じゃない…ご馳走ゲットよ!」
「草太は和美さんに預けといて、ちゃんとご馳走をお持ち帰りするから大丈夫だよ!」
「お前、最近母さんに似てきたな…。」
南部彩の場合
電話は極力しない様にしていた。
際限なく話してしまうし、切ったあとの一人部屋に残された寂しさ耐えられないから。
しかし、「送別会」を口実にすぐに蒼磨さまに連絡した。
「うん、そっか。榎田くんの別荘を使用するんだね。
でも他に何か協力出来ることがあったら、何でも言ってくれ。
サッカー部の人達は僕と彩くんにとって大切な恩人だからね。」
「はい、私を含め、サッカー部の皆様は蒼磨さまの裕福な所だけを見ていません!
会場に来ていただけるだけで…。」
「わかってるよ、彩くん。
僕は君に会えるだけで幸せさ…。」
「そ、蒼磨さま…。自分にはもったいないお言葉を…。」
新入部員の場合
「まどか、ホントに行くの?
無茶しちゃ駄目よ!」
「さやか、明日行かなきゃ、いつ行くの!
私の存在を知らずに、先輩がドイツに発つなんて、私は一生後悔するわ!
もう病気は大丈夫だから…。
普通に学校の授業も受けれてる…。
サッカーを再開出来るにはまだ時間かかるけど…。」
「ごめんね、まどか。
私、貴女の辛さをわかってやれずに…。」
「同じ双子でも、運動音痴のさやかがサッカー辞めないだけでも…気持ちは伝わってるわ…。」