島先輩が懸賞小説で奨励賞を取ったらしく、その賞金目当てでみんな遊ぶ計画で持ちきりでした。
さすが成績優秀な島先輩です。
でも、何のジャンルの小説で授賞したのかは誰も教えてくれませんでした。
「南部ちゃんも明日、ボーリング行かない?」
男女の部員で日曜日の予定を計画しているみたいです。
私は日曜日は優矢君の家に招待されて、弟くんと妹さんとゲーム三昧になりそうですけど。
皆様から誘われた南部先輩は…。
「申し訳ございません。
自分はその日はアルバイトを入れてますので。」
「…そっかぁ。仕方ないね。
でも、サッカーもしながらバイトって大変じゃない?」
「その通りです。。しかし、蒼磨さまのアパートで一人暮らしをしている以上、いつまでも好意に甘えるわけにはと…。
せめて生活費の足しにと、才能を活かせた仕事が見つかって良かったです。」
「…さ、才能を活かした仕事って…。
バカ!南部ちゃんはまだ学生なのよ!
もっと自分を大切にしなさい!」
島先輩は南部先輩の言葉を聞いて激しく怒りました。
「し、島さん。
そんな…自分の身体をそこまで心配してくれて…。
大丈夫です。
皆様とても親切に接してくれています。」
「だけど、不特定多数を相手にする危険さをあんた何にもわかってないでしょ!」
「自分もここまでの大人数とは思ってませんでした。
しかし、自分目当てで来てくれる方が居ることを知った時は幸せでした。」
「…南部ちゃん目当て…。
もう、そこまで…。
大丈夫、まだ今なら戻れるわ!」
二人の会話が噛み合ってる様な噛み合って無い様な雰囲気に高坂先輩が、
「中島、島の奴は南部が公民館の剣道道場でバイトしていると知っているのか?」
「知らないはずよ。
島ちゃんのことだから『南部ちゃんの才能を活かした』でそっち方面のお仕事と思ってるみたいだけど。」
「優矢くん、そっち方面のお仕事って何?」
「あぁ、南部先輩の剣道以外の才能だから、えすえ…。」
「本人の前でいかがわしい会話をしないで下さい!
自分はその才能でお金を稼ぐつもりはありません!」
「…。」
「…。」
「あっ、いえ、決してそっち方面の才能を自覚してるわけでは無く…。」
「そうだよね、才能があるのは一橋先輩の方だもんね。」
「はい、その通りです。
自分はただされるがままに…。」
「…。」
「…。」
「うわぁ~ん。」
今日も平和です。