テッペキ!ジャーニー 27 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

同時刻 ホテル内ロビー

「片倉先輩…あの…私に何か?」

呼び出された理由は私にあることは百も承知だったが、先輩の口から聞きたくてわからないフリをする。
…ホントに私って嫌な女…。

「結城さんに返事をしないといけないって思ってたからさ…。」

どこまでも律義で誠実な片倉先輩が憎らしい…。
そっとしてほしいのに…。
今だけは不良時代に戻ってほしいと思う私の性根が不良品よ…。

「や、やめて下さいよ…。
もう、答えは出てるじゃありませんか?
『片倉先輩は高坂先輩を受け入れた』

それ以上何があるって言うんですか?」

「うん、その通りなんだけど…ちゃんと自分の口から言うのが僕の責任だと思って…。」

私が悪い。
片倉先輩は優しいから、彼氏の相談に乗ってくれた。
きっと私一人じゃ別れる勇気が無かったと思う。
それでやめてりゃいいのにバカな私は感謝の気持ちを愛情にすり替えて…。

生真面目な片倉先輩は
「考えさせて」
と態度を保留してた。
あの時、彼氏と別れてなかったら私は疑念と欺瞞に満ちたドイツ合宿になってただろう。
それには感謝している。

ただ…あの時に私の気持ちを拒絶してくれてれば今日、私は二人のキスシーンにここまでショックを受けてなかったのに!

そして今また私を呼び出して追い打ちをかけようとしている…。

「片倉先輩、彼女居ませんよね?
私をどう思いますか?」

「どういうこと?確かにまだ高坂さんとは正式に付き合ってないけど…結城さんが大切な後輩には変わりなくて…。」

「もう!今のは昔の柳生ちゃんの真似ですよ(笑)。ボケたのに真面目に返されるとこっちが恥ずかしいです!

…片倉先輩…高坂先輩に…私みたいな想いをさせないでくださいね。
じゃあ…ありがとうございました。おやすみなさい。」

「おやすみ。」

私は嘘をつきました。

「柳生ちゃんの真似」ってのは冗談じゃなく本気で『まだ高坂先輩と付き合っていない』に賭けたつもりでした。
そして直球過ぎる直球が変化球となり『私をどう思いますか?』との質問は私の心意を隠した。

だけど先輩はただ『後輩』とだけ言った。

だから私は最後に呪いをかけたの。

『私みたいな想いをさせないで』

は、

『恋人じゃなくても大好きな貴方に大切にされて私は世界一幸せな女だったから、高坂先輩を私より幸せにしないで下さい』

って強がりです。

私の短い恋はまた終わりを告げた…。