後半30分
「ピッピッー!」
北条学園 2-0 ベルリン大学
私のダイビングヘッドはポストに嫌われましたが、片倉先輩が相手キーパーの飛び出しより早く、強引に押し込みゴールネットを揺らした!
誰もが(絶対に私以外のみんなも思ったはず)今度は片倉先輩から高坂先輩にキスのゴールパフォーマンス?って思ったけど、点を取った片倉先輩はいつも以上の微笑みを浮かべながら一目散に高坂先輩に駆け寄り、
「コラ、何をする片倉、下ろせ、!」
高坂先輩の脇の下に両手をあて、昨日、漣お兄さんがやった様な『高い高い』を披露しました!
「さっきは不意をつかれたからね…。
お返しだよ。
それにお礼の意味も込めてね。
ありがとう。」
「わ、わかったから下ろせ…!
…ナイスシュートだ…。
お、おめでとう…。
なかなかの反応だったぞ…。」
見てるこっちが恥ずかしくなるような二人の世界が続くかと思いましたが、ベンチから真田先輩は冷静な采配を振るいました。
「交代?私がか?まだ私はやれるのに…。真田の奴…。」
何と、追加点が入ったと同時に、真田先輩はチームの大エース高坂先輩に交代を命じたのでした。
慌ててピッチの端に駆け寄る高坂先輩。
真田先輩もラインギリギリまで出てきて…。
「ありがとう高坂。
2点差で残り15分ならここは守備を固めるのが常道だ。
さすがのお前もフレイアちゃんとイザベラちゃんを相手して疲労が見える。
守備力と運動量がある山名ちゃんと交代だ!」
高坂先輩は不満そうでしたが、
「…わかった…。
チームは私の所有物ではないからな…。
ここでお役御免とさせてもらおうか…。
佐竹!山名が入れば中盤の組み立てはお前に任せるぞ!」
「後は私達に任せてゆっくり休んで下さい~。
15分後には胸を撫で下ろす結果になってると思います~。
そのペタンコなお胸を♪」
「お前はいつも一言余計だ!早く入れ!」
中盤の底に入った山名先輩は持ち味のパワーディフェンスでイザベラさんから強引にボールを奪い、持ち前のスタミナと運動量で疲労が蓄積した南部先輩と、地上戦での守備に不安がある私を積極的にフォローしてくれました。
そして…。
『まだよ、まだ終わらない!もう一度グングニルを…。』
「ピッピッピーー!」
試合終了を告げるホイッスル!
ロスタイムにフレイアさんのシュートが決まったけど、時はすでに遅し。
2-1での勝利です!