「高坂瑞穂さんを見た瞬間、同じ瞳をしていると感じました。
機械の様に修練を積んだ人間の瞳です。
自分も蒼磨様の為に剣道、弓道に励んできたからわかります。
しかし、その高坂さんの周りに集まるサッカー部の皆様を見ていると…。
自分の今までの人生が突然空虚に思えてきたのです。
普通の女子高生として、自分が生きた証を残したい衝動に駆られたのです!」
「その衝動を、僕に向けてくれることを望むよ。」
「この話は終わりにしましょう。
聞かれてやましい話ではないが…。君達の良心が傷むだろう?
柳生さん、相良さん出て来なさい!」
ちょっと完璧にバレてるじゃない!
「南部先輩ごめんなさい!」
「だから君は何を謝っている?
聞いての通りだ。
『自分は身も心も蒼磨様の為にに捧げている』
間違ってはいないさ。」
「僕はそれを彩くんの意思で僕を選んでほしいんだ!」
「私も、いくら家の為とかでも、嫌いな人のお世話とか無理です!」
「そうですよ!南部先輩、惚れてるから尽くせるんでしょ?素直になりましょうよ!」
「…君達に何がわかる…。
蒼磨様…帰りましょう…。」
「えっ?駅に向かわないんですか?」
「あぁ、僕達は学校近くのこの辺りにアパートを借りて暮らしてるんだ。」
翌日ロッカールーム
「柳生ちゃん!良くやったわ!
大ニュースじゃない!」
隠すつもりはないって南部先輩自身が言ってたからとりあえず島先輩に軽く言ったら全員に広がりました…。
一橋家って言ったらかなりの坊っちゃんな家庭だそうで…。
でも皆様そんなことよりも話の中心は…。
「あ~いいな~同棲って憧れ~。」
「あたしも~家に帰っても、彼が居るって最高!」
「待ってよ、柳生ちゃんのその話じゃ、まるでメイドかボディーガードじゃない!」
「はい、恋人とは言ってませんでした。」
「イヤ、男女が同棲してて手を出さないってないわ!
その男、何考えてんの?
南部さんも毎日がチャンスじゃない!」
「島先輩!」
「きっとライバルのお嬢様とやらに気後れしてんのよ!」
「島先輩!」
「やることやっちゃえば、坊っちゃんだろうがお嬢様だろうが…。」
「…君の様に割り切れたらどんなに楽か…。」
「南部さん!いつから居たの?柳生ちゃん教えてよ。」
「あぁ、言っておくが自分と蒼磨様はそういう関係ではない…。
ただ寝食のお世話をするだけだ…。
それより今日は勝つ」