翌日のロッカールーム
「昨日の最上先輩カッコ良かったねぇ。」
「高坂先輩にあんなにビシッと言えるの最上先輩くらいじゃない?」
「普段あんなにおっとりしてるのに、いざというときには、一番に真樹ちゃんの為に行動してホントに『チームのお母さん』って感じですぅ。」
「そうよ、由紀姉はホントに母性の塊よ。
背も高いし、ピッチ全体を見渡せる視野もあるから、いずれチームのディフェンスリーダーになってくれるわ。」
「それに較べて…。」
「そうですよね、南部先輩は昨日真樹ちゃんのカバーリングしただけで…。
気遣うフォローとか全くなかったですよね。」
「中島先輩、山名先輩、南部先輩が入部したきっかけって何ですか?」
「ごめんなさい、私達もわからないの。
真田くんとのPKに負けた瑞穂の力になろうねって、私と理恵と由紀姉は一緒に男子部に入部したんだけど、何故かその日一日人数合わせで誘ったはずの南部さんも入部してたの。」
「南部先輩って無口で自分の事話さないから…。
クラスでもそんな感じなんですか?」
「それがねぇ、何か良くわからないけど、時間がある限り三年生の彼氏にベッタリなのよ!」
「えっ?彼氏居たんですか?」
「一年は知らないだろうけど、登下校も昼休みもずっと一緒なのよ。」
「あっ、私この前三年生の教室に用事があった時に彼氏とお昼食べてる南部さん見たんだけど、彼氏さんにも黙ってジーっと見つめながら食べてただけよ。
何が楽しいんだろ?」
「理恵、人それぞれだからいいでしょ。
でも、彼氏優先なのはわかるけど私達とももっと絡んでくれても…。
昨日の宇都宮さんといい、あたし主将失格だなぁ」
「南部先輩はきっと無理矢理その男に付き合わされてるんだわ!
何か弱味を握られて、『お前の身体は俺の者だ』って…。」
「柳生ちゃん!後ろ」
「…集合の時間です。」
「南部先輩ごめんなさい!」
「君は何を謝っている?君は別に間違ったことは言ってないさ…。」
「ちょっと南部さん…。」
「いいか、明後日に正式な紅白戦を行う。
男女混合でチームを分け、フォワード、サイド、中盤、CBで全て男女ペアにしてある。男子は女子との連携を重視すること。
ではチームを発表する!」
高坂先輩によってチーム分けが発表された。
左サイドの私は同じく左サイドの優矢くんとは別チーム。
で優矢くんのペアは…。左サイドバックの里見愛ちゃんだわ!