カイレフォンの友人 6 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように




「パパドプーロスよ、お前ほどの有能な官吏が赴任してくれたこと、『災厄』までに間に合ったことが唯一の望みだ!」

「優秀なる傭兵よ、この国の自治は私が責任を持って監視する。
この村にも私の信頼する部下が常駐するから安心して祖国に帰るがよい。」

「時にパパドプーロスよ、お前は『災厄』をどう考える?」

「役人として幼き少女の言うことに左右されてはならぬのが現実だ。
だが、『黒森の魔女』の伝説は私も知っている。
予言を無視した結果、自国の兵と異国の民を危険に晒したとなれば私は末代まで無能な官吏の汚名を着せられるであろう。
優秀なる傭兵よ、安心せよ。
当日は外出を控える触れと、道の要所に兵を常駐させる触れを出してある。」



「我が友よ、俺はアルラウネちゃんの言った予言が、せいぜい『野盗が通行の邪魔をする』程度だろうと疑っていたことを恥ずかしく思う。
まさかこんなことが起きるとは…。」

「カイレフォンよ、恥じることはない。
これほどの大地震が起こるなど、ゼウスにさえわかるはずがない!
アルラウネの予言は当たった。
だが道を塞ぐどころか、道が無くなるほどの災害とは…。」

「この村は当日に火を使うこと、屋根に登ることさえ禁止したから直接的な死人は出なかったが…。
我らが祖国ルテミスが心配だ。」

「カイレフォンよ、この大地震は西の我がルテミス共和国、中央のロイセン暫定自治政府、そして東のパルタカ王国にも甚大な被害を及ぼしたであろう。
高く、密集した建造物の無いこの村の方が被害が少ないだろう。」

「我が友よ、アルラウネちゃんの言う通り、森を抜けて祖国に帰るのがまるで決まっていた運命のようだ!」

「カイレフォンよ、私も全く同じ気持ちだ。
今はアルラウネの案内の下、『白森』を抜けるのが最善の策だ。」

「優秀なる傭兵よ、お前達のおかげで大勢の命が守られた。
さぁ、任務は今終わった。
ロイセンの復興とこの村は私に任せて、お前達は祖国ルテミスに帰るが良い!」

「…お婆ちゃん、私、本当に行くね…。」

「アルラウネよ、私はここでお前の父の帰りを待つ。
そしてお前もいつでもここに帰ってくるが良い。
母の魂が眠るこの村に。」

「…お婆ちゃん…。大好きよ…。」

「行きなさいアルラウネ。
今こそお前の力が必要とされる時なのです。」

「…行こう、お兄ちゃん達…。
イタズラするピクシーに気をつければ白森は怖くない…。」