カイレフォンの友人 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

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このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

はじめに

この物語は従軍する重歩兵・カイレフォンとその友人との対話を中心に、人生と命の意味を探求する物語です。

国も時代も定まっていない別世界では「哲学ファンタジー」と新しいジャンルになると思います。

ファンタジーの中に読者様自身の哲学を想起できれば幸いです。


カイレフォンの友人1 戦争の意味


「この戦争は間違っている!
司令官は巫女の言葉を都合良く解釈している!」

「カイレフォンよ、ならば聞こう。
では間違っていない戦争とは何だ?」

「それは…。
正義の為に戦うことだ!」

「敵兵も自分達は正義と思って戦っているのでは?」

「それはあいつらの同胞が罪の無い少女を殺したことを全員が知らないからだ。」

「確かにこの戦争の発端はそれだ。
しかし、一人を殺されたからと言って、二人を殺すのが本当に正義だろうか?
我が軍に二人を殺された敵兵は、三人の我が兵を殺すことを自分達の正義と思っているかもしれない。」

「我が友よ!ならば何故、君はそんな大層な甲冑を着けて俺と従軍している?」

「それが私の業だからだ。
私は私の責任においてのみ剣を持つのは、家族と家族の生活を守る為だ!」

「我が友よ、ならば君は納得の上で剣を振るうというのか?」

「戦場に臨んだ者は納得の上と見なして斬らねばならない。
私は斬られる覚悟で臨むのが私の責任だ。」

「我が友よ、ならば君は正しい戦争にだけ従軍したのか?」

「カイレフォンよ、私には『世界の全て』を把握し、世の中の法則を間違いなく説明することは出来ない。
ただ私が従軍しないことは、何の障害もないのに荷を運ぼうとしない馬に等しい。」

「我が友よ、俺には君がただの『自由参加の重歩兵』で終わる人間とは思えない。

俺はデルフォイの神殿で巫女の言葉を聞いた。
『最大の賢者は誰か?』
との俺の問いに巫女はためらいなく君の名を告げたのだ!」

「カイレフォンよ、お前は何ということを…。

どうやらこの戦争で死ぬわけには行かなくなったな。
何としてもその神の御言葉が間違いであることを証明しなければ。」

「我が友よ、巫女の神託に間違いは…。」

「カイレフォンよ、わかっている。『神は嘘をつかない』だ。
きっと私が最大の賢者だとの本当の意味を証明してみせる。」

「我が友よ、俺も協力しよう。
それには何としても今日、明日中に前線を突破しよう。」

続く。