12月23日(日)20:10
「ごめん、お話に夢中になっちゃって。
お風呂用意出来たから、先に入ってきて。」
おい、いいのか優矢!お前はこれでいいのか?
無理だ。
このまま「意識してない」を翌朝まで貫くなんて無理だ!
あぁ、恵里菜の奴、何て無防備で無邪気な天使…。
前回のお泊まりは「友達として」 「まだ付き合ってない」 を心に固く誓って、恵里菜のお気に入りの乙女ゲーに集中することで乗り切ったけど…。
今回は「恋人として」だ。
大丈夫かな?俺…。
でも、恵里菜もわかってるはず…。わかってて俺を彼氏として泊めてるわけで…。
それは、その時になれば、昨日先輩方から散々説教された「男の心得」を実行する時であって…。
武田主将は、「柳生さんの女のプライドを傷つけるな。」
と強く訴えてたけど、真田先輩は、「柳生さんに覚悟が無いなら絶対に身体を傷つけるな。」
と強く釘を刺された。
だからそれがどっちかがわかったら苦労しないって!!
家族の会話の中からそれとなく質問し続けたけど、遂に風呂の時間まで、恵里菜の真意が読めなかった。
どうしよう…。
(まさか、こうやって俺が勝手な想像しながら入浴してると、恵里菜が入ってくるって展開は…。)
無いよな、少年漫画の読み過ぎだよ…。
って思ってたら…。
「…優矢くん…。」
「シャンプー足りてる?」
「あっ、あぁ大丈夫だよ…。」
な、わけないよな。
落ち着け、俺。
12月23日(日)20:40
「じゃあ、私入ってくるね、テレビでも漫画でも適当に過ごしててね。」
恵里菜は自分のジャージとTシャツを用意しててくれたが、俺も予め着替えを用意してた。
これは好判断だった。恵里菜の服のサイズが大きいこともあるが、もし、今俺が恵里菜の服を着てしまえば、理性は吹っ飛び、入浴中の恵里菜をその場で襲ってただろう。
それじゃ仮に恵里菜に覚悟があっても絶対に彼女を傷つけてしまう!
とりあえず良かった…。
12月23日(日)22:0
「ごめんなさい、お待たせ~。」
お風呂上がりのシャンプーの香りが、「衝動」とは別に純粋な恋心を刺激される。
「お風呂上がりの女の子って、可愛いな。」
「ありがとう、お風呂上がりの男の子だって可愛いよ。」
駄目だ、間が持たない。
と思った時、急に恵里菜が俺の胸に飛び込んできた。
「…もう、夜を怖がりたくありません。」
俺は灯りを消す。